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2015年2月17日 (火)

『剛毅木訥(ごうきぼくとつ)仁に近し。』

こんばんにゃ~night 北の猫男爵ですcat

『剛毅木訥(ごうきぼくとつ)、仁に近し。』

これは『論語』の中にある言葉で、「意思が強く、素朴で口数が少ない人物が、道徳の理想である仁に最も近いものである」という意味の言葉です。

僕は初めて耳にするこの言葉ですが、この言葉を「座右の銘」にしていたスポーツ選手がいました。

彼はその言葉通り、「真が強く、そして飾り気のない」誰からも信頼される選手であり、指導者でもありました。

しかし、ちょうど1ヶ月前の1月20日、彼は54歳という若さでその真っ直ぐな人生を終えてしまいしたbearing

彼の名前は斉藤仁、日本柔道界において決して欠かすことのできない大きな大きな存在でした。

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柔道に精通している方であればもちろんご存知だと思いますが、柔道にそれほど詳しくない方は「山下泰裕」という名前は知っていても「斉藤仁」という名前には聞き覚えがない方も多いのかもしれません。

「世界の山下」としてその名を轟かせていたその影に隠れ、斉藤さんは当時の日本柔道界では常に2番手という存在でした。

しかし、彼はロサンゼルス(1984年)、ソウル(1988年)と2大会連続で五輪で「金メダル」を獲得していることを皆さんはご存知でしょうか?

特に僕が印象に残っているのは、ソウル五輪の時ですcrown

当時、中学2年生だった僕は毎日のように五輪のテレビ中継tvにかじりついていたのですが、日本にとって「お家芸」と呼ばれていた「柔道」が思わぬ不振で、何と最終日まで金メダルが1個も獲れないという状況に陥っていたのですshock

日本中が予測もしていなかったその事態の中、「最後の砦」として「95kg超級」に登場したのが斉藤さんでしたpaper

準決勝の相手は地元・韓国の選手で、かなりの苦戦を強いられ、判定にまでもつれこみました。開催地である韓国が有利なのではないか・・・という中で、何とか斉藤さんは勝利し、そして決勝でも見事に相手を破り「金メダル」に輝いたのですshine

その時の、テレビの実況のアナウンサーkaraoke「土壇場、土壇場で踏ん張りました日本柔道!」というフレーズが今でも僕は忘れられません。

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表彰式で満面の笑みを浮かべる斉藤さん、そして掲揚される「日の丸」を見ながら涙を流す斉藤さん、あの表情も決して忘れることのできない思い出ですconfident

斉藤選手、そして斉藤コーチをよく知る人たちは、彼のことを「2つの顔を持つ男」だと言います。

1つ目の顔は「鬼の斉藤」です。

畳の上では絶対に妥協を許さない、「やると言ったらやる!それが彼の信念でした。

五輪金メダリストの鈴木桂治氏はこう述べています。「あの人が近づいていると足音でわかった。あの人が道場に来る日は、鳥のさえずりさえも聞こえない。」まさに「鬼の斉藤」を象徴する逸話です。

そしてもう1つの顔とは「仏の斉藤」です。

畳を下りると、温和で優しい笑みを浮かべるその表情からはその人柄が溢れていました。

決して己の事を語ることをせず、五輪連覇という偉業を自慢するわけでもなく、山下の影に隠れていたことを愚痴るわけでもなく、大好きなお酒の席は「誘ってくれた相手の顔をつぶしてはいけない」とほとんど断ることはなかったそうですpaper

結果的にそのお酒が肝臓を壊し、病魔にとりつかれることにはなりましたが、それが「仏の斉藤」という姿の象徴でもあったのかもしれません。

「鬼」の一面と「仏」の一面というメリハリがあることで、仲間や後輩からは大きな信頼を得ていたのかもしれません。

斉藤さんが8度戦って1度も勝つことができなかった最強の相手でもある山下康裕氏は、彼の通夜の席で「最高で最強のライバルだった。仁ちゃんの魂、志を受け継いで頑張るから天国で見守ってくれよ。」と涙ながらに語りかけていました。

2012年のロンドン五輪で男子柔道界は初の金メダル「0」という屈辱を味わいました。斉藤さんが27年前に、必死で守り抜いた「日本柔道の歴史」が途絶えた瞬間でもありました。

その後、斉藤さんは強化委員長というポストに就き「日本柔道再建」への道を進みだした矢先での今回の訃報だっただけに本当に残念でなりませんbearing

ぜひとも日本柔道界には、斉藤さんの熱い意思を引き継ぎ、必ず復活を果たして欲しいと思います。それこそが、本当の意味での斉藤さんへの恩返しにもなり供養にもなるはずです。

『剛毅木訥、仁に近し』その言葉通りの道を歩んだ斉藤仁さんの人生に拍手を送りたいと思います。そして、天国で安らかにお眠りください。

それでは今日はこんへんで。チャオ(ciao!)

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