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2012年2月13日 (月)

『アフタースタイル』~カット5~

こんばんにゃ~night 北の猫男爵ですcat

今日からまら新たな1週間が始まりましたねhappy01。月曜日は週の始まりという事もあり、何か気持ちが引き締まりますよねgood。これから始まる1週間はどんな1週間になるのか、まだまだ寒い日が続きますが、頑張っていきましょうねhappy01

さて、そんな今日は月曜日恒例の「連続ブログ小説」の日ですshine。今週も「月9」tvに対抗するべく、何とか締め切りにギリギリ間に合いましたcoldsweats01。毎週、「1週間」という限られた時間clockの中で、原稿を書くpencilのは結構ハードな作業ですsweat01

本当の脚本家はどうなのか分かりませんが、既に完成している作品は別として、「締切日」というものに追われて書くというの作業は、予想以上に疲れますcoldsweats01。それでも自分の頭に浮かんでいる“絵”を言葉にしていく作業は、凄く楽しいですし“やりがい”がありますscissors

今日も少し長編になっているので、読むのに少し時間clockがかかると思いますので、暇な時間を選んで読んでくださいねpaper

それでは、連続ブログ小説『アフタースタイル』、巷では「アフスタ」と呼ばれているとかいないとかcoldsweats01、そんな「アフスタ」の第5話のスタートですnote

『アフタースタイル』 脚本・演出:猫男爵

<CAST>

大澤怜雄:滝沢秀明

町村真奈美:加藤あい

南條  茜:綾瀬はるか

望月龍平:小栗  旬

町村功治:渡辺いっけい

町村由紀:岡江久美子

藤堂弥生:天海祐希

上田達也:妻夫木聡

大澤すみれ:菅野美穂

小峰健太郎:竹野内豊

馬場勝一:橋爪  功

取手理沙:篠田麻里子(ゲスト出演)

大野幸枝:西田尚美(ゲスト出演)

※この連続ブログ小説はフィクションであり、登場する人物・名称等は全て架空のものであり実在しません。

☆カット5☆ 足が動かない女

<前回までのあらすじ>

幼い頃に両親を交通事故で亡くし、父と同じ美容師を志した主人公・大澤怜雄は、その天性の才能を活かし、都内有名美容室「アクア」のNO・2にまで昇りつめた。しかし怜雄は突然「アクア」を辞め、両親が経営していた美容室を再開させる事にした。

縁があってアシスタントとして南條茜を雇う事になった怜雄のもとには、なぜか様々な「心の悩み」を抱えるお客が訪れる。怜雄は、髪を切りながらもお客が心から笑って帰る事ができるように、お客の「心の悩み」を見事に解決してく。

この日も、お客として訪れたスランプに陥っていたピアニストの復活のステージを見届けた怜雄は、茜と共に喫茶店「ケンタロウ」で話し込んでいた。するとそこに現れたのは、幼なじみの町村真奈美の父親の町村功治であった。

喫茶店「ケンタロウ」では、大澤怜雄南條茜が椅子に座り、店主の小峰健太郎と会話を楽しんでいた。その時、お店の扉が開きdoor入ってきたのは町村功治だった。

『あれ?おじさん、どうしたのこんな時間に?』怜雄は功治に尋ねた。

『怜雄、あの・・・ま、ま、真奈美と結婚してくれないか!』功治は言葉を詰まらせながら大きな声を張り上げた。

功治のその言葉に怜雄はもちろんのこと、茜も健太郎も「驚く」というよりも「唖然」としていた。

『な、な、何を言っているの、おじさん?』怜雄がいち早く口を開いた。

その怜雄の言葉を聞き、我に返ったのか功治は呟いた。

『ごめん怜雄、今のは忘れてくれ!』そう言い残すと、功治は店を飛び出していった。

店内では怜雄と茜と健太郎が目を合わせて沈黙していたが、すぐにみんな苦笑いを浮かべたcoldsweats01

翌朝、怜雄は買い物に行くために家を出た。そこでバッタリ、出勤前の隣りに住む幼なじみの町村真奈美に会った。

『おはよう、怜雄!』いつも通りに真奈美は元気に怜雄に挨拶を交わした。

『お、お、おっす真奈美・・・』怜雄は昨日の功治の言葉もあり、どことなくぎこちない話し方だった。

『あっ、そうだ怜雄!そういえばお姉さんから、これを渡してって頼まれたんだけど。』そう話すと真奈美はバックから一冊の本を取り出した。

『姉ちゃんが?何だろ?』そう言いながら怜雄が手にしたのは、真奈美が取材した「アクア」のカリスマ美容師上田達也の記事が掲載されている雑誌だった。

『もし、見るのが嫌だったら捨てていいからね・・・』真奈美は怜雄の顔色を伺いながら話した。

『捨てるわけないだろ、真奈美が初めて任された大きな取材の記事だろ、ちゃんと見るよ。ほら、早く行かないと仕事遅れるぞ!』怜雄はそう真奈美に声をかけた。

『うん、ありがとう、行ってくるね!』真奈美は嬉しそうに走っていった。

そんな2人のやり取りを本屋の店先から見ていたeyeのは、功治と真奈美の母親の町村由紀だった。

『何か良い感じねあの2人。』由紀はニコニコしながらそう言った。

『ああ・・・』功治は苦笑いを浮かべていた。

『あなたちゃんと昨日、怜雄君に伝えたのよね?』由紀は功治に尋ねた。

『あ、あ、当たり前だろ!ちゃんと伝えたさ!』功治はしどろもどろだった。

『で、答えはどうだったの?』由紀は功治の顔を見た。

『いや、それがその、答えは聞けなかったんだ・・・・』功治は正直に由紀に話した。

『そうなんだ・・・』由紀は少しガッカリした表情を浮かべた。

そんな2人に見られているとも知らず、怜雄は手にした雑誌の真奈美の記事を見て目を丸くしたeye

その時、お店の電話telephoneが鳴る音がしたので怜雄は急いでお店の中に入った。

『はいもしもし、お電話あるがとうございます「janus」です。』怜雄は電話に出た。

『はい、そうですけど・・・えっ?どういうことですか?』怜雄は眉を細めた。

そして、美容室「janus」の営業日である火曜日が来た。店内にはお客の来店に備えて準備をする怜雄と茜の姿があった。

『茜ちゃん、今日のお客さんは女性だから、もしかしたらカラーするかもしれないからウィービング用意しておいてくれる。』怜雄はそう茜に言葉をかけた。

『はい、わかりました。あっ、そうだ怜雄さん、ハガキが届いていますよ。』茜は嬉しそうな顔でそう言った。

『ハガキ?誰から?』怜雄は不思議そうに茜に尋ねた。

『驚きますよ、大和愛美さんからです。』茜はニコニコしていた。

『えっ!愛美さんから?』怜雄は驚いた表情を見せた。

『楽しくやってるみたいですね。』そう言いながら茜は怜雄にハガキを手渡した。

『この笑顔なら大丈夫だ。』怜雄はハガキに写っている愛美の写真cameraを見てそう呟いた。

(大和愛美は茜がこのお店で働いて初めて来たお客さんである。詳しくは第2話を参照)

とその時、お店の扉が開いたdoor

『あの・・・予約していた取手理沙ですけど。』そう言葉を発したショートカットの女性は、車椅子に座り扉の前にいた。

『お待ちしておりました、茜ちゃん手を貸して。』怜雄はすぐに茜を呼んだ。

『は、はい・・・』茜は車椅子の女性の姿を見て少し驚いていた。

怜雄と茜は理沙を店内に連れてきて、車椅子から鏡の前の椅子に移して座らせたchair

『取手理沙さん、ご来店いただきましてありがとうございます。今日はどのように致しましょう?』椅子に座った理沙に怜雄が尋ねた。

『5cmぐらいカットしてください、あと明るめの色でカラーをお願いします。』そう口を開いた理沙は少し元気のない表情だった。

『理沙さんって呼んでもいいでしょうか?』怜雄は理沙に尋ねた。

『ええ、構いませんけど。』理沙はちょっと不思議な顔をして答えた。

『理沙さんは、いつもこんな感じでショートカットにしているのですか?』怜雄は唐突に、理沙の髪をクシで整えながらそう尋ねた。

『そうですけど、どうしてですか?』理沙は怜雄に聞き返した。

『いえね、美容師っていうのはこうやって髪を触っていれば分かるんですよ、この人はきっと今までずっと短めの髪型をしていたんだなって。』怜雄は鏡越しに理沙の顔を見て話した。

『そうなんですか。』理沙も鏡越しに怜雄の顔を見た。

『髪質や毛先の痛み方、その微妙な感覚で、わかるんですよ。』怜雄は笑顔でそう言った。

『美容師さんって凄いんですね、この仕事に昔から憧れていたんですか?』理沙は怜雄に尋ねた。

『親父が美容師hairsalonでね、毎日その姿を見て育ったから、気がついたらいつの間にか「憧れ」の職業になっていました。どちらかといえば、「憧れ」と言うよりも「好き」っていう感覚でしたけどね。』怜雄は優しい笑みを浮かべてそう言った。

『良いですね、好きな事をできるって・・・』理沙は意味ありげな言葉を発した。

『・・・・』怜雄はすぐに言葉が出ずに一瞬、理沙の顔を見つめた、そしてすぐに口を開いた。

『理沙さんは、どんなお仕事を?』怜雄はそう尋ねた。

『私は美術館の受付をしています。』理沙は浮かない表情でそう言った。

『へえ、美術館ですか、素敵なところじゃありませんか。』怜雄はそう理沙に話した。

『そうですか、私は別に好きでそこにいるわけじゃないですから、素敵かどうかは正直よくわかりません。』理沙は冴えない顔をしてそう言った。

『・・・・そう、そうですよね』怜雄は気まずそうに鏡越しに後ろにいる茜と目を合わせた。

『名前、美容師さんのお名前は何て言うのですか?』理沙は怜雄に尋ねた。

『僕ですか、僕は怜雄、大澤怜雄です。』怜雄は答えた。

『怜雄さん、後ろにいる女性の方がさっきから何か聞きたいようですが、もしかしてこの足のことですか?』理沙は冷たい視線で茜の方を見ながらそう言った。

『・・・・いえ、別にそんな事は思っていませんよ。』茜は慌てて理沙に弁解した。

『理沙さん教えてくださいよ、あなたの足がどうしてこうなったのか。』怜雄は真剣な顔で理沙に尋ねた。

『ちょっと怜雄さん・・・』茜は困った顔を浮かべて怜雄にそう言った。

『いいですよ、もう私にとってはどうでもいい過去の事ですから。』理沙は冷めた口調でそう言った。

そして、取手理沙は自分の過去の出来事について話し始めようとした。

その頃、怜雄の美容学校からの友人である望月龍平は、怜雄の姉の大澤すみれが勤める出版社を訪れていた。

『チーフ、望月さんというお客様が見えられていますけど。』出版社の部下がすみれにそう話した。

『望月?誰だろう・・・』すみれは首を傾げながら、立ち上がった。

龍平はそんなすみれの姿を見つけると、すぐに近づいていった。

『先日はどうも、お姉さん。』龍平はすみれに声をかけた。

『怜雄のお友達の龍平君ね!いつも「龍平君」って呼んでいるから、「望月」って聞いてもピンとこなかったわ。』すみれは笑顔で話した。

『忙しいのにすみません、職場まで押し掛けてしまって。』龍平は頭を下げてそう言った。

『いいのよ、でもどうしたの?』すみれは質問を投げかけた。

『実は、怜雄から頼まれまして・・・これをお姉さんに渡してくれって。』龍平は真剣な表情でそう口を開いた。

『なんだろう?』すみれは首を傾げながら、少し長めの箱の蓋を開けた。

『これは!!』すみれは驚いた表情を見せた。

『何ですかそれ?』龍平も箱の中身が気になった。

『これは・・・母が大切にしていた万年筆なの。実は母も若い頃、編集社で働いていてね、ある取材で父と運命的に出会って、それが縁で結ばれたっていうわけなの。』すみれは思い浮かべながら話した。

『そうだったんですか。』龍平はそう呟いた。

『この万年筆はね、当時母が使っていたもので、まだ母が生きている頃に、私が「将来はお母さんと同じ道に進みたい」って言った時に、「もしも一流の記事を書けたら、お母さんがこの万年筆をプレゼントしてあげる」って約束してくれたの。怜雄はその事をちゃんと憶えていて、大切なこの形見を私に贈ってくれたのね。』すみれは凄く嬉しそうな顔でそう言った。

『そんな大切な思い出があるんですね、この万年筆には。』龍平もまた何だか嬉しい気持ちになっていた。

一方、「janus」では取手理沙が自らの過去について話し始めたところだった。

『実は私、以前は実業団のバスケットボールbasketball選手だったんですよ。』理沙はそう言って口を開いた。

『そうでしたかバスケットでしたか、何となくスポーツをやっていたような気はしていました。』怜雄はそう理沙に話しかけた。

『高校時代からそれなりの活躍をしていたので、幾つかの実業団チームから声が掛かったんです。そしてその中の1つのチームに私は行くことになりました。』その時の事を思い出すように、ゆっくりと理沙は当時の事を回想していた。

『そのチームには大野幸枝さんという女性のコーチがいて、私をマンツーマンで指導してくれました。』

理沙が思い出しながら話す姿を怜雄も茜も黙って聞いていた。

『入社して3年すると、私はチームの中でも中心選手になり、キャプテンを任せられました。コーチも私中心のチームにしようと色々と試行錯誤してくれたんです。』理沙はやや笑みを浮かべながらそう言った。

『でも、それが他のメンバーには面白くなかったんでしょうね・・・徐々に周りのみんなは私に嫉みを持つようになり、少しずつ距離を置くようになったんです。そんな時でもコーチは、必死にチームをまとめようと、みんなを説得し続けてくれました。』理沙は噛み締めるように話し続けた。

『そしてある大きな大会で、私達のチームに優勝のチャンスが訪れたんです。決勝に進んだ私達は、チームが1つになって勝つことだけを考えていました。もちろん私も、キャプテンとしてチームのみんなをまとめる事だけに集中していました。そして迎えた決勝戦の朝、その朝に私の運命は終わったんです・・・』理沙は急に下を向いて言葉を発しなくなった。

『何があったんですか、理沙さん?』怜雄は優しく語りかけた。

少し間をおいて理沙はその重い口を開いた。

『会場に向かう途中に交通事故に遭ったんです・・・』理沙の顔には笑みが完全に消えていた。

『自分に何が起きたか分からないまま、薄れゆく意識の中で私は救急車に乗せられている事だけは憶えていました。次に目を覚ました時、私は病院hospitalの中でした。』理沙は辛い記憶を蘇らせる事と戦っていた。

『その時もう、私の下半身は自力では動かす事ができない状態になっていたんです・・・』

後ろでこの話しを聞いていた茜は思わず下を向いてしまった。

『その日から私には希望とか未来とか、そんなものは何ひとつ見えなくなりました。朝が来て、そしてまた夜が来て、また朝が来る、ただそれの繰り返し、生きている事に何の意味があるんだろう・・・いつもそう思っていました。』理沙は下を向いていた顔を上げて、再び話し出した。

『それでも、コーチは毎日私のところに顔を見せに来てくれました。コーチは「一緒に頑張ろう!」っていつも私を励ましてくれました。』

怜雄は髪を切る手をずっと止めながら、理沙の言葉のひとつひとつを胸に刻んでいた。

『最初はコーチの顔を見て元気をもらっていたけど、でも日が経つにつれ、そんなコーチの優しさが凄く私は嫌になりました。「一緒に」って言ったって、私のこの気持ちはコーチには理解できるわけがない!そう思ってきたんです。』理沙は思わず唇を噛み締めた。

『そんなある日、チームのみんながバスケットボールに寄せ書きをしてくれて、それをコーチが持ってきてくれたんです。でもそれを見た時、私の中で自分が動けない事への苛立ちが頂点に達して、私はそのボールを投げつけてしまったんです。』理沙は悲しい表情になった。

『その次の日から、あんなに毎日来てくれていたコーチが姿を現さなくなりました。ああ、やっぱりコーチも私を見捨てたんだ・・・そう思ってその日から私はもう誰も信じない事にしたんです。これが私の足がこうなった出来事の全てです。』理沙は思いの全てを吐き出した。

その時、今まで理沙の話しを黙って聞いていた怜雄が口を開いた。

『理沙さんは、今そのコーチの大野さんがどこで何をしているのかご存知ですか?』怜雄はそう尋ねた。

『いいえ、別に興味もありませんし。』理沙は冷たい口調でそう答えた。

『実は先日、ここに大野さんから電話があったんですよ。』怜雄はそう話した。

『えっ?どうしてここに?』理沙は驚いた。

『大野さんは、あなたの事を見捨てていたわけではないんですよ理沙さん。今でもあなたのお母さんと連絡は取っているようで、今日あなたがここに髪を切りhairsalonにくる事をお母さんから聞き、そして私のところに電話をくれたんです。』怜雄は鏡越しに理沙にそう言った。

『コーチが・・・それでどうしてここに電話を?』理沙は思わず振り返って怜雄を見つめた。

『本当は、大野さんには口止めされていたんですが・・・』怜雄は少し小声でそう言った。

『お願いです、教えて下さい!』理沙は怜雄に懇願した。

『実は大野さんは、あなたと病院で最後に会った日、あの帰り道に交通事故に遭ったそうです。あなたが投げ捨てたバスケットボールを持ち帰った大野さんは、信号待ちsignalerをしている時にそのボールbasketballが手から落ちて道路に転がり、大切なそのボールを拾おうと取りに行き、車にひかれたそうです。』怜雄は真剣な眼差しで、怜雄の顔を見つめる理沙に話した。

『そんな・・・』理沙は呆然とした。

『命に別状はなかったのですが、あなたと同じように下半身麻痺の体になり、今も車椅子生活をしているようです。』怜雄はその悲しき事実を理沙に伝えた。

『コーチが・・・』理沙はただ呆然とするだけだった。

『でも大野さんは、あなたとは違う!あの人は人生を、そして未来を諦めてはいない!彼女は「車椅子バスケットボール」のチームに入り、毎日汗を流しています。彼女は下を向くことなく、前だけを見て生きています。』怜雄は強い口調で理沙に訴えかけた。

『・・・・・』理沙は何も言えなかった。

『その話しを聞いて、先日僕は彼女の練習を見に行きましたbasketball。彼女は「あなたにも負けないで欲しい、一人で苦しまないで私とまた一緒にボールを追いかけて欲しい。」と言ってました。「今度はコーチと選手とではなく、同じ選手として。」と言っていましたよ。』怜雄は大野の言葉を理沙に伝えた。

『コーチ・・・』理沙は奮える声で呟いた、その目にはうっすらと涙が零れていた。

『理沙さん、あたなには未来を変える事のできる強い味方がいる。それだけでも恵まれているんじゃないですか?どんなにあなたが下を向いていても、ずっとあなたの事を想い、信じ、そして待ってくれている人がいるじゃないですか。今あなたが自分で未来を変えなきゃ、誰があなたの未来を変えれるですか?』怜雄は優しい口調で理沙に話しかけた。

『未来を変える・・・』理沙は涙を拭いながら呟いた。そして少し間をおき話し出した。

『そうですよね、私にはまだこの両腕がある、そしてコーチもいるんですもね!ありがとうございます、何か勇気が出てきました。』理沙は濡れた瞼を拭い、そして笑みを浮かべた。

怜雄はその顔を見て少し安堵した。

『でも、どうして美容師のあなたがそこまでしてくれるのですか?』理沙は怜雄に尋ねた。

『美容師の仕事は髪を切るだけが仕事じゃないんですよ、髪を切り終わった後に、その人が笑って帰ってくれる事が仕事なんですよ。そのためなら何でもしますよ。少なくても僕はそう思っています。』怜雄に顔は自信で満ち溢れていた。

その頃、都内有名美容室「アクア」のオーナーである藤堂弥生は、とある本屋である雑誌を手にしていた。それは町村真奈美が取材した上田達也の記事が掲載されている雑誌だった。

『なるほど、これが上田の答えね。』藤堂の表情は強張っていた。

「janus」では取手理沙が店を後にするところだった。

『ありがとうございました、良かったらまたお越しください。』怜雄は丁寧に頭を下げた。

『こちらこそありがとうございました。髪を切ってこんなに清々しい気持ちになったのは生まれて初めてです。』理沙の顔には完全に笑顔が戻っていた。

『茜ちゃん、ちょっと手を貸して。』怜雄は茜に声をかけた。

『大丈夫です、自分でできる事は自分でしないと、もっと強く生きなきゃ。』そこには入店した時の理沙の姿は全く無かった。

『そうですか。』怜雄の顔は笑みで溢れていた。

その週末、怜雄は茜を呼び出し、とある場所へ向かっていた。

『怜雄さん、どこに行くんですか?』茜は場所も知らずに歩くことに少し苛立ちを感じていた。

『いいから、いいから。』怜雄はそんな茜をあしらうようにそう言った。

そして少し歩いたところで茜に声をかけた。『よし着いた、ここだよ。』

2人が着いたのはとある体育館だった。その扉doorを開けると、そこには取手理沙と大野幸枝が車椅子バスケットbasketballで汗を流している姿があった。

『あっ、理沙さんだ!』茜は思わず声を上げた。

『ああ、怜雄さんと茜ちゃん。来てくれたの?』理沙は笑顔でコーチの大野幸枝と一緒に近づいてきた。

『怜雄さん、あなたのおかげで私の人生は救われました、本当にありがとうございました。コーチとまたこんな楽しい時間を過ごせる事が今とても幸せです。』理沙の顔には笑顔が溢れていた。

『それはあなたが自分で決めた事です、僕は何もしていませんよ。』

理沙にそう言いながら話しかける怜雄に、すぐさま幸枝も話しかけた。

『先日はありがとうございました。おかげさまで、理沙とまた一緒にバスケをする事ができました。私の未来にも光りが見えてきました。』そう幸枝は御礼を言った。

『僕は何もしていませんよ、あなたの気持ちが理沙さんを動かしたんですよ。』怜雄はそう言った。

『コーチ!さあ練習しましょう!試合までそんなに時間はありませんよ。』理沙の声は元気の塊だった。

『理沙、もうそのコーチはやめてって言ったでしょ。』幸枝の声も元気で一杯だった。

『そうでしたね、幸枝さん。』

そう言葉を交わす2人には眩しいくらいの光り輝く笑顔があった。そしてその2人を見つめる怜雄と茜の顔も笑顔で満ち溢れていた。

その翌日、怜雄はいつものように「競馬場」にいたhorse

怜雄は競馬をしながら、合間を見て席に座り雑誌を読んでいた。それは姉のすみれから貰った、真奈美が取材した上田達也の記事が書かれたあの雑誌だった。

その雑誌を真剣に見ながら、怜雄の口元は少し緩んでいた。

『あいつ、格好つけやがって。』そう呟きながら、怜雄は立ち上がり競馬のレースの方を見つめた。

その姿を、後ろからじっと見つめていたのは、怜雄の競馬仲間の馬場勝一だったeye

競馬場に少しそよ風が吹いた、その風は怜雄が座る椅子の上に置いてあった雑誌のページをめくりあげた、そして開いたそのページは上田の記事が書かれているページだった。そこには上田のコメントが書いてあったpencil

「俺に最高のライバルがいる、俺が真のカリスマになるのは、そいつとの勝負に勝ってからだ。そいつとの戦いを、今は凄く楽しみに待っている。」と書いてあった。

走り去る馬の姿を見つめる怜雄の顔は、凄く幸せそうな表情で溢れていた。

~to be continue~

さあ、いかがでしたか「アフスタ」の第5話はhappy01楽しんでいただけたでしょうか?いつものことですが、少し長編になってしまい申し訳ありませんbearing。次回の「第6話」も、ぜひ楽しみにしていて下さい。締め切りに間に合うように頑張りますので(笑)

それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)

<今日の誕生花> 2月13日

0213

「ローダンセ」

花言葉は「光輝、飛翔」です。

「ローダンセ」はキク科の一年草で、原産地はオーストラリアです。薄い紙細工のようなカサカサした花びらを持ち、ドライフラワーにするには最適な品種で、生け花にも多く利用されています。

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