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2012年2月 6日 (月)

『アフタースタイル』~カット4~

こんばんにゃ~night 北の猫男爵ですcat

日本列島が大寒波にtyphoon襲われた先週でしたが、今日からまた新たな一週間がスタートしましたpaper。まだまだ寒波typhoonには気が抜けませんし、もう1つの難敵である「インフルエンザ」が、例年以上の猛威をふるって大流行しているようですhospital。皆さんの中にも、既にその流行に運悪くのってしまったという方もいるかと思いますが、十分に気をつけてくださいねdanger

さて、そんな今日は月曜日ということで「月9」『ラッキーセブン』tvでも見て過ごそうかなと思っている方もいるかと思いますが、楽しみはこのブログにもありますよscissors

連続ブログ小説『アフスタ』ファンの皆さん、お待たせしましたwink。今日は第four話をお送りしますpaper。先週はブログ上の都合により、お休みしてしまい誠に申し訳ありませんでしたbearing。今日は2週間ぶりに『アフスタ』をお送りしまので、楽しんでくださいねhappy01

それでは早速、連続ブログ小説『アフタースタイル』第4話をお送りしたいと思いますhappy01

『アフタースタイル』 脚本・演出:猫男爵

<CAST>

大澤怜雄:滝沢秀明

町村真奈美:加藤あい

南條茜:綾瀬はるか

望月龍平:小栗 旬

町村功治:渡辺いっけい

町村由紀:岡江久美子

藤堂弥生:天海祐希

上田達也:妻夫木聡

大澤すみれ:菅野美穂

小峰健太郎:竹野内豊

馬場勝一:橋爪 功

和泉修一:三上博史(ゲスト出演)

※この連続ブログ小説はフィクションであり、登場する人物・名称等は全て架空のもので実在しません。

☆カット4☆ 『音が聞こえない男』

<前回までのあらすじ>

幼い頃に両親を交通事故で亡くし、父と同じ道を志し美容師の道へと進んだ主人公・怜雄は、都内有名美容室「アクア」のNO・2にまで登りつめた。しかし怜雄は突然「アクア」を辞めて、両親が営んでいた美容室を再開させることにした。

南條茜というアシスタントを雇い、お店を訪れる様々なお客さんに「未来は自分で作るから未来なんだ」ということを教える怜雄であったが、そんな彼の前に姿を現したのは「アクア」で同僚だった上田達也というカリスマ美容師であった。怜雄は心の中でずっと抱えていた心の葛藤に立ち向かい、上田に自分の思いを伝えたのだった。

都内にある競馬場horseには大澤怜雄と、怜雄の隣りに住む本屋の主人である町村功治の姿があった。

『おじさんが競馬やりたいなんて珍しいよね。』怜雄は微笑みながら功治に話しかけた。

『俺だってさ、たまにさ、息抜きしたい時だってあるさ。』功治は苦笑いしながら言った。

『今日はこの5レースが一番荒れそうな感じだな・・・』競馬新聞を見ながらそう呟く怜雄に功治は話しかけようとした。

『ところで怜雄、あのさ、真奈美のことなんだけどさ・・・』小さな声で功治が話しかけた。

『ほら、おじさんレース始まるよ!』功治のその話を押し消すように怜雄は言葉を発した。

『う、う、うん・・・』結局、言いたい事は言えないまま功治はレースを見ることにした。

その頃、都内にある人気美容室「アクア」ではカリスマ美容師hairsalon上田達也がオーナーの藤堂弥生に呼ばれ、オーナー室の前にいた。

部屋の前に立ち、ひと呼吸置いて扉doorをノックして達也は部屋に入っていった。

『失礼します、何かご用ですか?』上田の表情は少し緊張気味だった。それもそのはず、オーナーから直々にお呼びがかかるという事はそうある事ではないからだ。

『上田、最近のあなたの顧客リストを見せて貰ったんだけど、これは何?あなたふざけてるの?』藤堂はややきつい口調で激高していた。

『いえ、そんなつもりはないんですが・・・』上田は強張った表情になった。

『こんなお客なら、そのへんの店でも、誰でも獲れるのよ!あんたは“カリスマ”なのよ、分かってる?そして「アクア」のNO・1なのよ?その自覚はあるの?』そう藤堂は上田に言った。

『わかっています。俺の腕は誰にも負けません!』上田は強く言い返した。

『だったらそれなりの仕事をしなさい!少し気が緩んでるわよ!分かったら、さっさと行って!』藤堂は厳しい視線で上田にそう言った。

『わかりました、失礼します。』そう言いながら頭を下げる上田の目には怒りが宿っていた。と同時に、この前の怜雄の言葉が頭から離れずにいた。

競馬場horseでは、ちょうど馬たちが最終コーナーを立ち上がって直線に向かうところだった。

『おじさん来るよ、このレース獲れるよ。』怜雄の目は自信に満ち溢れていた。

『えっ?だって、5番の馬はあんなに後ろじゃないか、いくら怜雄の言う事でもそれはちょっと無理だろ・・・』功治は苦笑いを浮かべてそう言った。

しかし、首を傾げる功治の目の色は次の瞬間変わったeye

『あっ、来た!本当に来た、5番が来た!おいおい嘘だろ・・・どんどん抜いていくじゃないか!』功治は驚きの表情を浮かべながら興奮していた。

『なっ、だから言っただろ。』怜雄は誇らしげにそう言った。

レースは見事に怜雄の言う通りになり、功治は見事に馬券を的中させたdollar

『凄いな怜雄は、やっぱり怜雄の競馬の“読み”は噂通りだな。』笑いながら功治がそう話かける中、2人の前に1人の人物が現れたshadow

『おう、小僧、今日はお連れさんと一緒のようだな。』そう話しかけてきたのは、怜雄の競馬仲間の馬場勝一という老人だった。

『あっ、馬場のじっちゃん!今日は俺の隣りに住むおじさんを連れてきたんだ。俺の“育ての親”みたいなもんだよ。』怜雄はそう言って功治を紹介した。

『はじめまして、あなたが馬場さんですか、怜雄からあなたの事はよくお聞きしています。俺の“師匠”だっていつも自慢していますよ。』功治は笑いながら勝一に挨拶を交わした。

『師匠か、まあそうかもな。』勝一は声高らかに笑い声をあげた。

数時間後、競馬場horseを後にした怜雄と功治は帰路の道を歩いていた。

『いや~今日は楽しかった、怜雄のおかげでこんなに儲けたしなdollar。また連れてってくれな。』功治は笑顔でそう言った。

『もちろんだよ、いつでも言ってくれ。』怜雄もまた笑顔でそう返事をした。

『ところで怜雄、あのさ、真奈美の事なんだけどさ・・・』功治は小さな声でまた話した。

『おじさん、そう言えば今日はお店大丈夫だったの、おばさん1人で?』功治の話をまた打ち消すように怜雄が言葉を発した。

『今日は真奈美が仕事休みだから手伝ってくれているから大丈夫さ、まあ客もそんなに来るわけじゃないしな。』功治はそう答えた。

『まあ、それもそうか。』

そう笑いながらいつの間にか2人は功治が営む本屋の近くまで来た。

『あれ、おじさん、何か店に人がたくさんいない?』怜雄は目を細めて功治に話しかけた。

『そうだな、随分いるな。』功治は真顔で怜雄と目を合わせて、そう言いながらお店に入っていった。

『いらっしゃいませ。』その声の主は、怜雄の幼なじみで功治の娘でもある町村真奈美の爽やかな声だった。

『何だお父さんか・・・』真奈美は忙しそうにそう言った。

『おい由紀、これどういう事だよ?この大勢の客は?』功治は妻の町村由紀に尋ねた。

『みんな真奈美が目当てよ、よく見てよみんな男ばっかりでしょ。』由紀は苦笑いを浮かべてそう言った。

『本当だ・・・』功治も苦笑いを浮かべた。

『それより、例の話、ちゃんと怜雄君にできたの?』由紀は真剣な眼差しで功治に聞いた。

『いや、それが・・・』功治は困った顔でそう言った。

『もう本当に役に立たないわね・・・』由紀は少し不機嫌な顔でそう呟いた。

そんな中、怜雄は真奈美に話しかけていた。

『お前さ、出版社なんかで働かないで、店継いだ方がいいんじゃない?大繁盛じゃん。』怜雄は笑いながらそう言った。

『何それどういう意味!』真奈美は怖い顔で怜雄を少し睨んだ。そしてすぐにこう話しかけた。

『それより、この前はゴメンね。何か怜雄に嫌な思いをさせて・・・』真奈美は怜雄に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

『いいよ、俺は別に何も気にしてないよ。それどころか助かったよ、俺に気づかせてくれて、逆に俺はお前に感謝しているよ。』怜雄はそう笑いながら答えた。

『えっ?どういうこと?』怜雄の思わぬ反応に真奈美は驚いた。

そして、何も言わず怜雄は白い歯を見せながら立ち去っていった。

2日後、「janus」では営業の準備に向けて、怜雄とアシスタントの南條茜の姿があった。

『怜雄さん、この前「ケンタロウ」で会ったあの人は誰ですか?凄く感じの悪い人ですよね。』茜はこの前の出来事を思い出しながら怜雄に聞いた。

『あいつは俺が昔働いていた「アクア」っていう美容室の同僚なんだよ。見た目はあんな感じだけど、根はそんなに悪い奴じゃないんだ。今の俺があるのもあいつがいたおかげなんだ、だから俺はいつかあいつを超えないといけないんだ・・・』怜雄はしみじみとそう語った。

『そんなに良い人には見えませんけどね。』茜はあまり良い顔はしなかった。

『いいよもうあいつの話はさ、それよりそろそろお客さんが来る頃だから、ワックスとミストをそこに並べておいて。』怜雄はそう茜に頼んだ。

『はい、わかりました。』茜は笑顔で答えた。

その時、お店の扉が開く音がしたdoor

『いらっしゃいませ。』怜雄がそう言いながら送った視線eyeの先にいたのは、1人の男性だったshadow

『ご予約のお客様ですね。』怜雄のそう尋ねた。

『そうだ。』ぶっきらぼうにその男は、和泉修一という男性だった。

『お待ちしておりました、和泉修一様、どうぞこちらへ。』そう言いながら怜雄は鏡の前の椅子に和泉を座らせたchair

『今日はどのように致しましょうか。』怜雄はそう和泉に尋ねた。

『少し全体的にボリュームをつけたいのでパーマをかけてくれ。』

男性にしてはやや長めの髪型をしているその和泉修一という男性は、40代半ばぐらいでやや痩せ型の紳士的な感じの男性だった。しかし、口調は若干ぶっきらぼう的なところがあった。

『わかりました。』そう笑顔で怜雄は返事をすると、準備を開始した。

『茜ちゃん、クラウンはツイストでネープは強めでいくから、パーマ液を用意して。』怜雄は少し急ぎながら茜にそう話した。

『はい、わかりました。』茜は返事をした。

『和泉さんは、何か音楽関係のお仕事でもなさっているんですか?』唐突に怜雄がそう切り出した。

『何でだよ?それが髪を切るのに何か関係あるのか?』相変わらずのぶっきらぼうな口調で和泉は返事をした。

『いえ、そういうわけではないんですが、時折足でリズムをとっているので、そうなのかな~と思いまして。僕は音楽とかそういう事には全く才能がないんですけどね・・・』怜雄は2人の距離を縮めるように、優しく和泉に話しかけた。

『才能?そんなモノは俺にだってないさ、音楽なんていうものはそんな次元でできるようなものじゃないよ。』和泉は節目がちにそう言った。

『もしかして、和泉さんはピアニストですか?』怜雄は鏡越しに和泉を見ながらそう尋ねた。

『どうしてわかった?』和泉は少し間をおいて答えた。

怜雄も少し間をおいて話し始めた。『その指の長さは、もしかしたらそうかなって思って・・・』

『あんたこそ才能あるじゃないか、人を見抜く才能がさ。確かに俺はピアニストだ、ただし売れない“三流”のね。』苦笑いを浮かべながら和泉はそう言った。

『そうですか、僕には一流のピアニストにしか見えませんよ。ただし今は、何かに迷い、何かを探している、三流のピアニストなのかもしれませんけどね。』何かを悟ったように怜雄はそう和泉に話した。

『怜雄さん、何言ってるんだろう?』茜は不思議そうに首を傾げながら小声で呟いた。

『あんたに何がわかる、余計なお世話だ!』和泉は少し激怒した。

『わかりますよ、僕も髪を切る楽しさを見失った時がありましたから。和泉さんは今、ピアノを弾くことが楽しくないんですよね?』怜雄は真剣な眼差しで和泉を見つめた。

その言葉に、和泉も鏡越しに怜雄を見つめた。

その頃、真奈美は勤務する出版社で、上司である大澤すみれ(怜雄の姉)に上田達也に関する取材の原稿を見せていた。

『うん・・・まあ最初にしては上出来じゃない。これだけ彼の言葉を引きさせれば、まずは合格点ね。』すみれは少し笑みを浮かべながらそう言った。

『ありがとうございます。』

『でも、まだまだもっと彼の言葉を引き出せるはずよ、次の取材も気を抜かないでね。』すみれは真奈美にハッパをかけた。

『はい、わかりました。』真奈美少し引き締まった表情でそう答えた。

『それと、怜雄の事なんだけど・・・』すみれは、やや節目がちに話し始めた。

一方、「janus」では怜雄が和泉の髪を切りながら会話を交わしていた。

『これは僕の独り言です、もしうるさかったら遠慮なく言ってくださいね。実は僕は以前、人気のある美容室で勤めていたんです。僕の夢はそこで一番の美容師になり、少しでもたくさんの人の髪を切る事、そして良い報酬を貰う事、それが一流だと思っていました。』怜雄はとても優しい口調で語りかけた。

和泉は黙ってその怜雄の言葉に耳を傾けていた。

『でもある日、気がついたんです。僕には僕にしかできない事がある、それがどういう結果になるにしても、自分が思った信念を貫き通す事、誰かに導かれてするのではなく、、自分でその道を進む、それこそが一流なんじゃないかってね。未来を決めるのは自分だけだってね。』怜雄は誇らしげに話した。

その時、怜雄の話を黙って聞いてた和泉の表情が一瞬緩んだ。

怜雄はそんな和泉の顔を見ながら、再び口を開いた。

『それは本当はもっと前に、ある人から教えられていた事だったんです。でも僕はその事に気づくのに少し遠回りをしてしまった。その事を僕はある人に謝らなければならないのかもしれない・・・そのある人に、僕の親父にね。』怜雄は感慨深げにそう話した。

和泉は口元にやや笑みを浮かべながら、下を向いたままだった。

『申し訳ありません、独り言が少し長かったみたいですね。』怜雄は苦笑いを浮かべながら和泉に話しかけた。

『あんたは本当に良い美容師だな、髪を切って貰ってこれだけ気持ちの良い気分になってのは、生まれて初めてだよ。』和泉はそう口を開くと、先程までのぶっきらぼうだった姿はすっかり消え、何か吹っ切れたように話し始めた。

『実は俺は若い頃は、少しは名の知れピアニストだったんだ。周囲の人たちは「お前には才能がある、お前は天才だ」などとはやしたてて、俺は有頂天になっていた。しかし、この世界はそんなに甘い世界ではなかった・・・』

和泉はややうつ向きながらも、話しを続けた。

『みんな時間が経てば、俺の事など忘れていき、そして仕事も減り、今では収入といえるものはほとんど何もない・・・』和泉は苦笑いを浮かべてそう話し、そして少し間をおいて再び口を開いた。

『そんな俺にも、恩師と呼べる信用のできる人が1人だけいてね。俺は最後までその人の言う事だけは信じていた。でもその恩師も先月、病死してしまった・・・息を引き取る数日前に俺はその恩師と、少しだけ言葉を交わしたんだ。』和泉はその時の事を思い出しながら語り始めた。

『「お前には才能がある、技術や実力もある、しかしお前の音楽からは音が聞こえない。」そう言われたんだ。結局それが恩師と交わした最後の言葉だった・・・』

和泉が話し続ける姿を、怜雄は鏡越しにずっと見つめていた。

『それからというもの、俺はその言葉が耳から離れずに眠れない日々が続いた。そして何日も何日も、ただひたすらけん盤に向かってピアノを弾き続けた。』和泉は当時の事を思い浮かべながら怜雄に話しかけた。

『そんなある日、俺の耳から突然音が消えた・・・恩師の言葉のように、俺が奏でる音楽からは音が聞こえてこなくなったんだ・・・何度も何度もピアノを弾いても、俺の耳には何も聞こえてこなかった。』和泉は切実に語り続けた。

『以前は自然と頭の中をかけ巡っていた旋律が、何ひとつ消えてしまった・・・これでもう本当に俺は終わった・・・そう思って、自分のピアノ人生の最後にと、知り合いに何とか頼み込んで、今度行われるリサイタルに参加させてもらことにしたんだ。』

その時、和泉の話しを黙って聞いていた怜雄が口を開いた。

『怖くはないんですか?』

『もちろん正直怖いさ、弾いている間、俺には音が聞こえないんだから・・・』和泉は目を瞑りながらそう答えた。

『「希望の旋律、信なる夜想曲」』怜雄は突然その言葉を口にした。

『えっ?何?』和泉が聞き返した。

『その曲は僕が8歳の時に生まれて初めて聞いた、あるピアニストの曲です。』怜雄は真剣な顔で、鏡越しに和泉の目を見た。

『その曲は・・・』和泉は思わず我を忘れたように呟いた。

『8歳の僕にはそのピアノが上手なのか、そして良い音楽なのか、そういう事は理解できなかったけど、ただ1つその音楽から何か沸きあがる勇気を貰った事はしっかりと憶えています。そして、それが親父と見に行った最後のピアノ演奏会でした。』怜雄は当時の事を思い出しながら話した。

『あんた、俺の事を知っていたのか?』和泉は驚いた表情で鏡越しに怜雄の顔を見た。

『ええ、20年前、まだ若かったあなたが弾いたあの曲で、僕は救われました。』怜雄は優しい笑みを浮かべていた。

『そうか、俺の曲が・・・』和泉もまた優しい顔になっていた。

その頃、定休日の「アクア」のオーナー室には藤堂弥生の姿があった。

『なるほどね、大澤怜雄にはこんな過去があったのね。』そう言いながら藤堂は「調査書」と書かれた少し集めの書類を机の上に置いた。

「janus」では和泉が会計を済ませ、店を後にするところだった。

『今日はこの店に来て本当に良かった、あんたに髪を切ってもらって凄く勇気が沸いてきたよ。』和泉は笑みを浮かべながらそう話した。

『20年前のお返しです、僕が貰った勇気のね。』怜雄も笑みを浮かべそう言った。

そんな2人の笑顔を見て、茜も優しい笑みを浮かべていた。

『ああそうだ!もし良かったら、今度の金曜日の夜にさっき話したリサイタルがあるんだ。ぜひ来てくれないか?』そう言うと、和泉はおもむろにジャケットのポケットからチケットを2枚手渡したticket

『それじゃ、どうもありがとう。』そう言うと、和泉は笑顔で2人に背を向けた。

『ありがとうございました。』怜雄は深々と和泉に頭を下げた。

その姿を見ながら茜は凄く嬉しい気持ちになっていた。

『さあ、茜ちゃん後片付けだ。』

そう怜雄が茜に話しかけた時だった、再びお店の扉が開いたdoor

『何か忘れ物ですか?』茜は和泉だと思い、そう言葉を発した。

しかし茜が送った視線eyeの先に現れたのは、和泉ではなく怜雄の友人の望月龍平だった。

『忘れ物?俺は何にも忘れてないけど。』龍平はポカンとした表情でそう言った。

『何だ龍平さんか・・・』茜は苦い顔でそう呟いた。

『何だはないだろ、何だわ。』龍平は苦笑いを浮かべてそう言った。

『何ですか、また暇つぶしですか?ここは喫茶店じゃないんですからね!』茜は口を尖らせてそう言った。

『おい、それは健太郎さんに失礼だろ!』龍平はすぐにそう言い返した。

『そういう意味じゃありません。』茜もすぐに言い返した。

その時、奥から怜雄が出てきた。

『おう龍平、例のモノ持ってきてくれたか?』

『ああ、また大変だったんだからな、これを探すの。』龍平は意味深に怜雄にそう告げた。

『サンキュー。』そう言うと怜雄はそれを持って奥の部屋の方へと再び消えて行った。

『ねえ、龍平さんはいつも怜雄さんに何を持ってきているんですか?』茜は不思議そうに龍平に尋ねた。

『それはね、それは言えないな~』龍平は少し間をおいてそう言った。

『もう、意地悪。』茜は少し残念な表情を浮かべた。

その後しばらく「janus」には3人の笑い声が響いていた。

その3日後、怜雄と茜はリサイタルが行われている会場にいた。会場はたくさんの観客で埋め尽くされていた。

『いよいよ次が和泉さんですね。』茜はやや興奮気味に怜雄にそう言った。

和泉が舞台に登場し、ピアノの前に立ち、観客に一礼をして椅子に座ったchair。大きく深呼吸をしたのち、和泉の指はピアノの弦を柔らかくタッチした。

優しくそして穏やかなその旋律noteに思わず怜雄は目を閉じていた。閉じた怜雄の目には、20年前の映像が蘇っていた。

若き日の和泉が今と同じように優しくそして穏やかに奏でる旋律、それを静かに聞き入る自分の父の姿が怜雄の横にはあった。

怜雄は思わず閉じた目を開け、自分の横の席に視線を送ったeye。しかしそこにはあの日のように父の姿があるはずがなかった。

しかし、それでも怜雄は凄く穏やかな気持ちになっていた。そんな怜雄の顔を茜は隣りでしっと見つめていた。

ピアノを弾く和泉の表情も実に優しい顔だった、彼の耳には完全に音が蘇っていた。

その姿を見ながら笑みを浮かべた怜雄に、和泉はピアノを弾きながら視線を送り、そして笑み浮かべた。

演奏は終わり、会場には大きな拍手と大歓声が沸き上がった。和泉が音と取り戻し、そして自分で未来を作った瞬間だった。

演奏会場を後にした怜雄と茜は、喫茶店「ケンタロウ」にいたcafe

『今日は2人でデートでもしてきたのかな?』喫茶店を営むマスターの小峰健太郎がにやついた顔で2人にそう話しかけた。

『デートなんて、そんなんじゃないよ!』怜雄は強い口調で否定した。

『そうですよ、そんなんじゃありませんよ!あまり変なこと言わないで下さいよマスター!』茜も手を横に振りながらそう言った。

『何だかんだ言って、2人とも楽しそうだね。』健太郎は、にやけていた。

『そう言えばマスターは何で髭を生やしてるの?』怜雄はいきなり質問をぶつけた。

『何だよ、急に話そらすなよ。それに俺の大切な髭をそんな話しをそらすネタにするな。』健太郎はふざけながら答えた。

『いや、そういうわけじゃないけどさ・・・』怜雄は苦笑いを浮かべた。

『私も聞きたい!どうしてマスターは髭を生やしての?』茜も怜雄に便乗した。

『どうでもいいじゃないか、それよりもさ・・・』と、マスターが話しを切り出そうとした時、店の扉が開いた。

そこに現れたのは町村功治だった。

『あれ?おじさん、どうしたの?』怜雄は功治を見ながらそう言った。

『怜雄、折入って話しがあるんだけどさ・・・』功治は真剣な顔をしていた。

『何?何だよおじさん、そんな怖い顔して。』怜雄は功治に尋ねた。

『うちの・・・うちの真奈美と結婚してくれないか怜雄!』

その突然の言葉に、怜雄も茜も健太郎も、驚いた表情で言葉を出なかった。

~to be continue~

さあ、いかがでしたか『アフスタ』の第four話はpaper。また1人、怜雄のもとを訪れたお客が「自分で未来を変える」ことができましたねconfident

一方で怜雄に対し何かを企む「アクア」のオーナー藤堂の動きも見逃せませんし、幼なじみの真奈美の父親からの突然の告白、色々と展開がありそうな予感がしますね。

この後、「janus」にはどんな客が訪れ、そして怜雄はどんな言葉で語りかけるのでしょうかpaper次回の『アフスタ』もお楽しみにhappy01

それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)

<今日の誕生花> 2月6日

0206

「油菜」(あぶらな)

花言葉は「競争」です。

油菜はアブラナ科の二年草で、原産地はヨーロッパです。作物として世界各地で栽培されており、種子から菜種油を取り、葉は冬菜として食用に、花は観賞用に用いられます。一面黄色に咲く色鮮やかな花菜畑はにほんの春の風物詩の1つでもあります。

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