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2012年1月23日 (月)

『アフタースタイル』~カット3~

こんばんにゃ~night 北の猫男爵ですcat

久しぶりのまとまった雪でしたが、皆さん大丈夫でしたか?

今年は北海道でも例年になく「大雪」snowによる被害が起きています。幸いな事に僕の住んでいる「十勝地方」では、さほど大雪の被害には襲われていませんが、道央圏でも特に「岩見沢」の辺りでは大変なことになっていますsnow

自然の脅威にはいつも無力さを感じますが、それも地球が生きているという証拠です。人間はみんなで知恵を出し合い、どんな困難も乗り越えていけるはずですpaper

ちょっと話のスケールが大きくなってしまいましたが、まだまだ「冬」が終わるまでには少し時間がかかりそうですbearing。「春の便り」が聞こえてくる頃まで、「寒さ」とそして「雪」と共存していきましょうねconfident

さて、そんな今日は月曜日ですshine。ということは・・・そうですflair勘の鋭い方ならお気づきですよねhappy01。月曜日の夜は「月9」に対抗して、あの連続ブログ小説の時間ですscissors。今週も何とか原稿pencilが締め切りに間に合い、ホッとしていますcoldsweats01

いつもうように、また少しばかり長編になっていますが、どうか飽きずに最後まで読んでいただければ幸いですhappy01。それでは「アフスタ」の第three話をどうぞご覧くださいgood

『アフタースタイル』 脚本・演出:猫男爵

<CAST>

大澤怜雄:滝沢秀明

町村真奈美:加藤あい

南條茜:綾瀬はるか

望月龍平:小栗 旬

町村功治:渡辺いっけい

町村由紀:岡江久美子

藤堂弥生:天海祐希

上田達也:妻夫木聡

大澤すみれ:菅野美穂

小峰健太郎:竹野内豊

馬場勝一:橋爪 功

この連続ブログ小説はフィクションであり、登場する人物や名称等は全て架空のものであり実在しません。

☆カット3☆ 『カリスマと呼ばれる男』

<前回までのあらすじ>

幼い頃に交通事故で両親を亡くした怜雄は、美容師を志して父と同じ道へと進む、そして「アクア」という有名美容室のNO・2にまで登りつめた。しかし怜雄は「アクア」を辞めて両親が営んでいた美容室を再開させる。

そんな中、そこへ現れたのは南條茜という1人の女性だった。怜雄は彼女をアシスタントとした雇うことを決めた。

彼女が働くようになってから初めて訪れたお客が大和愛美という女性だった。彼女は自分の気持ちに嘘をついていることを怜雄に悟られ、その気持ちに正直になるべく、愛する人のもとへと向かった。空港で愛美の幸せそうな顔を見届けた怜雄だったが、その後に喫茶店「ケンタロウ」で、ある人物と再会することになる・・・

都内にある競馬場horse大澤怜雄は馬券を握りしめ、レースを見つめていた。

『良しいいぞ、その調子だ、その勢いで来い!差せ!』怜雄はレースに夢中になっていた。

『おい、どうした!何やってるんだよ、来いよ!どうしたんだ・・・』怜雄はガックリと肩を落として席に座り込んだdown

そこへやってきたのは怜雄の競馬仲間の馬場勝一という老人だった。

『どうした小僧、今日は調子が悪いみたいだな。』勝一は口元を緩めながらそう言った。

『次は勝つさ、ちょっと油断しただけさ!』怜雄はいつもになくムキになっていた。

『やめておけ、今日のお前じゃ何度やっても無理じゃ、ひとつも勝てないぞ。』勝一の顔は先程とは違い厳しい表情になった。

『なんでだよ!』怜雄は鋭い視線で勝一を睨んだ。

『今のお前は心ここにあらずじゃ、そんな状態で馬の心を感じ取れるか?うん?どうじゃ?』勝一は優しい口調でそう言った。

『それは・・・・・』勝一の言葉に怜雄は返す言葉が見つからなかった。

そして、数日前の出来事を頭の中で思い出していた。

今から数日前、それは怜雄がよく行く近所の喫茶店「ケンタロウ」での出来事だった。

怜雄の前に現れたのは、幼なじみで隣りに住む町村真奈美と、以前怜雄が勤めていた美容室「アクア」のカリスマ美容師である上田達也であった。

『真奈美が何で上田と・・・』怜雄は真奈美に小声で尋ねた。

『実は、仕事で上田さんの取材をすることになって・・・』真奈美は言いづらそうに怜雄に説明した。

『ちょっと場所を変えましょう。』真奈美は怜雄に気を遣い、上田にそう話しかけた。

『いいじゃないですか、ここでやりましょうよ。』上田は怜雄の顔を見ながら強い口調でそう言った。

仕方なく真奈美は上田と共に一番奥にある席に腰をかけた。すると、それと同時に怜雄は席から立ちあがり、店を出ようとした。

『おい、負け犬!また逃げるのか?』上田のその挑発的な言葉に怜雄は思わず足を止めた。

『俺は、俺は、負け犬なんかじゃない・・・』怜雄は小さな声で呟きながら拳を握りしめた。

『えっ、何だって?何か言ったか?聞こえないぞ。』上田がさらに怜雄の気持ちを逆なでした。

『だから俺は!』怜雄は振り返り、言葉を発しようとした。

『怜雄、やめとけ!』それを制したのは喫茶店cafeのマスターである小峰健太郎だった。

『・・・・』その言葉に怜雄は必死に堪えた。

『あの、すみません、お客さんが彼とどういう関係かは知りませんが、彼ね今すぐ行かなきゃならない所があるんですよ。時間が無いので行かせてあげて下さい。ねっ、いいですよね?』健太郎は言葉は優しい口調ながらも目では少し睨みを効かせながら、上田にそう言った。

『俺は別にかまいませんよ。』上田はそう返答した。

怜雄はその言葉を聞くと、すぐに店を出ていったdoor

『怜雄さん!』怜雄と一緒にいた、アシスタントの南條茜はすぐに怜雄を追い掛けようとした。

『茜ちゃん!』そう言いながら健太郎は茜の手を掴み、首を横に振った。

その数時間後clock、怜雄は美容学校時代からの友人である望月龍平がバイトをしているショットバーにいた。

『珍しいな、お前がここに来るなんて、久しぶりだよな?』龍平は怜雄にそう話しかけた。

『俺だってたまに飲みたい時ぐらいあるんだよ、悪いか!』怜雄は怒鳴るようにそう言った。

『良いけどさ、あんまり荒れないでくれよ。友達が酒barで暴れたともなれば、俺のバイト代減らされるからさ。』龍平は冗談交じりにそう言った。

その時、ショットバーの扉doorが開き、一人の女性が入ってきた。それは怜雄の姉であり、真奈美が勤める出版社の上司でもある大澤すみれだった。

すみれは辺りを見渡し、怜雄を見つけると歩み寄ってきた。

『どういう風の吹き回し、珍しくあなたが私を飲みに誘うなんて?』すみれは怜雄にそう言った。

『たまに姉弟で飲んだっていいじゃないか、まあ付き合えよ。』怜雄は無表情ですみれにそう言った。

その頃、喫茶店「ケンタロウ」では真奈美の達也に対する取材pencilが終わり、真奈美が達也に御礼を言っているところだった。

『本当に今日は忙しいところありがとうございました。おかげで良い原稿が書けそうです。またご連絡致しますので宜しくお願いします。』そう言いながらお店の扉の前で真奈美は頭を下げた。

『こんな取材で良ければいつでも言って。まあ、ギャラは高めで頼むよ。ああ、それと今度はもっとオシャレな場所が良いなぁ、こんなところじゃ何か俺の雰囲気に合わないしさ。』上田は健太郎の方を見ながら、皮肉交じりにそう言った。

『ちょっと!』茜は思わず声を発しそうになった。

『茜ちゃん。』それを健太郎はまた制した。

『それじゃ、失礼するよ。』笑みを浮かべながら上田は店を出ていったdoor

『何なのあの男!』上田が店を出るなり、茜は声を荒げた。

その茜の声を聞きながら健太郎が口を開いた。

『真奈美ちゃん、これはどういうこと?』

真奈美は席に座り、事情を全て2人に話した。

一方、ショットバーでは怜雄とすみれが一緒にお酒を飲んでいたbar

『しっかし、怜雄の姉貴はいつ見てもキレイだな、怜雄と同じDNAだなんて信じられない話だよ。』いつものごとくおチャらける龍平だった。

『いいからお前は向こうへ行って、ちゃんと仕事してろよ。』怜雄は龍平を突き放した。

『で?私に何か話があるんでしょ?何なの?』すみれは唐突に怜雄にそう言った。

『さすがだな、何でもお見通しか姉ちゃんは。』怜雄は苦笑いを浮かべながらそう言った。

『あなたの顔を見ればずぐに分かるわよ。』すみれは怜雄を見つめながら言った。

『姉ちゃん、何で真奈美にあんなことを頼んだ・・・』怜雄は真剣な顔で尋ねた。

『やっぱりそのことか・・・』すみれは少しうつむいた。

『何でそういうことをするんだ。おかげで俺はあいつに“負け犬”呼ばわりされたんだぞ!』怜雄は少し怒りながらそう言った。

『で、あんたは何て答えたのよ?』すみれは逆に怜雄にそう尋ねた。

『・・・・』その問いに怜雄は黙り込んだ。

『何も言えなかったんだ。じゃあ、やっぱりあんたは“負け犬”だね。』すみれは少し強い口調で言った。

『違う、俺は・・・』怜雄は言葉がつまった。

『あんたは勝負から逃げたのよね?親の店のことを言い訳にして、競い合うことから逃げただけでしょ、違う?違うなら、ちゃんと説明してみてよ。』すみれは真剣な顔で怜雄を見つめていた。

『・・・・』怜雄は何も言えなかった。

『あなたが「アクア」で勤めることになった時、あなたは私に何て言ったか憶えている?「俺はあの店で一番になって、親父が叶える事ができなかった夢を叶えるんだ」って、そう言ったのよ。』すみれはその時を思い出しながら語りかけた。

『憶えているよ、でも・・・あの店には親父が追い掛けていた夢なんて無かったんだよ、だから俺は・・・逃げたわけじゃない!』怜雄はすみれに言い返した。

『私が、どうして真奈美ちゃんにあの男の取材を頼んだか教えてあげるわ。もちろん雑誌の売上げになるネタだからというのが一番よ、でももう1つ、あなたに闘って欲しいの。』すみれの顔は優しい顔になっていた。

『闘うってどういう事だよ?』怜雄はすみれに聞き返した。

『別にあの男とどうこうしろっていうのじゃないのよ、あなた自身が立ち向かっていかなければならないものと闘って欲しいの?あなたなら分かるよね、その意味が・・・』すみれは怜雄の目をじっと見つめながらそう話した。

『・・・・・』怜雄は一点を見ていた。

時間は競馬場horseにいた日に戻るrecycle

数日前の事を思い出していた怜雄は、ふと我に返った。

『おいどうした小僧、何度話しかけても返事もしないでボッーとして、大丈夫か?』勝一は怜雄に話しかけた。

『ああ・・・馬場のじっちゃん。』怜雄はようやく馬場の言葉に気がついた。

『何じゃその顔は、これじゃ自分の強さを知らずに走るのを怖れている“臆病な良血馬”のようじゃな。』勝一は笑いながらそう言った。

『臆病な良血馬?そうか!』怜雄は何かに気がついたような顔をした。

『ありがとう、じっちゃん!』

『おい、何じゃ、わけの分からない小僧じゃの。』勝一の言葉も聞かず、怜雄は勝一のもとから走り去っていった。

都内有名美容室「アクア」の店の前に、息を上げて走ってきた怜雄の姿があった。怜雄は息つく暇なく、「アクア」の扉を開けた。

『上田はいるか?』受付のスタッフに怜雄はそう言った。

『ご予約のお名前を教えていただけますか?』スタッフはそう尋ねた。

『いいから上田を呼んでくれ!』怜雄は声を荒げながらさらにそう言った。

『ですから、ご予約のお名前を・・・』スタッフが話し終えるのを待たずに、怜雄は店内に進んで行った。

『どちら様ですか、ちょっと困ります。』スタッフは慌てて大声をあげた。

『いいわ、行かせてやりなさい。』そう言いながら店員を制したのは、「アクア」のオーナー藤堂弥生だった。

店内を見渡し、怜雄は上田を見つけた。

『上田、ちょっと顔をかせ。』怜雄は上田に腕を掴みそう言った。

『何だよお前こんなところにまで来て、見たら分かるだろ、今仕事中だぞ。』上田は怜雄を睨みつけた。

『ちょっとでいいんだ、すぐに済むから。』怜雄の目は真剣だった。

『分かった、ちょっとだけだぞ。』そう言い返す上田の目も真剣だった。

『申し訳ありません、少々お待ちいただけますか。』上田は椅子に座るお客にそう言うと、怜雄の後についていった。

2人は「アクア」の裏玄関を通り細い路地に出た。

『おい、どういうつもりだよ!仕事中にこんな事しやがって、お前もプロだったら・・・』怒鳴り散らす上田の話が終わらないうちに、怜雄が口を開いた。

『ゴメン、悪かった!』そう言いながら怜雄は深々と頭を下げた。

『何だよいきなり、何のまねだよ。』上田は戸惑った。

『俺はお前とちゃんとこの店で競う合う事をせずに店を辞めた、それをまずは謝るべきだった。確かにお前の腕は「カリスマ」と呼ばれるに相応しいよ、でもそれは俺と競い合ってそして自力で掴んだものではない、だからそれをお前は許せないんだろう、違うか?』怜雄は真剣な眼差しで上田に尋ねた。

『何を・・・勘違いするなよ、俺はお前と競い合う以前に生まれながらの「カリスマ」だ。』上田はやや下を向きながらそう言った。

そしてすぐにまた口を開いた。

『いい機会だからお前に教えてやるよ、どうして俺が「カリスマ」って呼ばれるかを。俺はどんな客であろうと、客が望む髪型にする事ができる、一寸の狂いもなく、客が満足して帰る事のできる腕が俺にはあるんだ、わかるか大澤!』上田は声を荒げてそう言った。

『ああ知ってるよ、お前の腕がどれだけ凄いかはな。でもそれは本当の「カリスマ」ではない、「カリスマ」と呼ばれているただの美容師なだけだ。』怜雄はそう上田に言い返した。

『何だって!』上田は怒りを覚えていた。

『俺は“負け犬”ではない、いつか必ずお前にそれを証明させてみせる!勝手な言い分だけど、だからそれまで待っててくれないか。』怜雄は再び上田に頭を下げた。

『ほう、たいした自信だな、俺が本当の「カリスマ」ではないね。言ってくれるじゃないか、俺は逃げも隠れもしない、でもこれだけは覚えておけ!例え、10年経っても20年経っても、一生お前は俺を追い越せない、お前のような甘い考えでは絶対にな!』上田は怜雄に強い口調でそう言った。

『やってやるさ。』怜雄は少し口元を緩めてそう言った。

『こんなくだらない話に付き合ってる程、俺は暇じゃないんだ。まあいつでも来いよ、何だったらお前の髪を切ってやってもいいぞ。』上田も笑みを浮かべながらそう言った。

怜雄の表情はなぜか晴れ晴れとしていた。そしてそれは、店内に戻った上田も同じ気持ちだった。ようやく2人の中にあったわだかまりの一部が融け始めたような、そんな感覚が2人の中で芽生え始めていた。

そして、この2人の会話を扉の影でこっそりと藤堂は聞いていたear

怜雄は自宅に向かって歩いていた。家に着く寸前に、隣りの本屋の店先には真奈美の父親である町村功治と、母親である町村由紀が2人で会話をしていた。

『今日はどうだった怜雄?』功治が怜雄に話しかけた。

『負けだよ、大負け、でもこの負けの価値はでかいよ。』怜雄は笑顔でそう答えた。

『どういうことだ、なあ母さん?』功治は首を捻りながら由紀の方を見た。

『さあ、私に聞かないでよ。』由紀はそう言いながら功治を突き放した。

「janus」に戻った怜雄は、子供の頃にいつも父の背中を見ていた暖簾の下に座っていた。

『親父、親父の背中はどうしてあんなに大きくて優しかったんだ。』怜雄はそこから見ていた昔の父の姿を思い浮かべていた。

『親父が叶えられなかった夢を叶える事が俺の夢だった。でもそれは違ったんだな、俺さ、今日やっと解ったよ。親父は夢をちゃんと叶えていたんだよな。親父の夢は何も有名な美容室でたくさんのお客さんを満足させる事じゃなかったんだよな。だから、ここを開いたんだろ?誰しもが心から笑って帰っていく、そんなお店を・・・』怜雄はまるでそこに父親がいるように、そう話しかけた。

『俺はこれから俺の夢を掴めばいいんだよな、そうだよな親父?でも、この店は使わせてくれよ、いいだろ?』そう一人で話し続ける怜雄の顔は凄く穏やかで優しい表情だった。

その怜雄の顔はまさに、店内の壁に飾ってあるローマの神「ヤヌス」のようであった。

左と右を向く2つの顔、それは先程まで“悩み”に暮れていた怜雄の「過去の顔」、そして心の中で何かを感じて前を見つめだした「未来の顔」、まるで「ヤヌス」そのものであった。

~to be continue~

さあいかがでしたか『アフタースタイル』の第3話はpaper。また長編になってしまい、読むのには少し時間がかかったと思いますが、楽しんでいただけたでしょうか?

怜雄の抱えていた“過去”が少しずつ分かってきて、ストーリーにさらに奥行きが出てきたのではないでしょうかconfident

人間の心模様とは凄く複雑で、時には心と反比例した言動に出ることもあり、それをどう乗り越えていくかが大切なのかもしれませんねconfident。人間的に少し成長した怜雄が、この後どんなお客さんに接していくのか、さらに第4話以降が楽しみになってきましたねhappy01

次回の「アフスタ」も乞うご期待good

それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)

<今日の名字しりとり> 備後(びんご)さん→神門(ごうど)さん、「神の門」と書いて「ごうど」さんとお読みになるんですね。何か神様の御加護がありそうなお名前ですが、そんな「神門さん」は全国には2000名程いるそうです。

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