『ガリナオ』 ♯2~海沈る(もぐる)~
こんばんにゃ~
北の猫男爵です![]()
さて、今日のブログは先週からスタート
した連続妄想ドラマ『ガリナオ』の第
話です
どうぞ、楽しんでください。
『ガリナオ』 第
話 「海沈る」(もぐる)
<CAST>
湯川遊:猫男爵
松岡さつき:常盤貴子
藤本翼:小栗旬
大林光司:竹野内豊
荒澤真知子:櫻井淳子
中田恵子:加藤貴子

舞台は千葉県沿岸のとある港町![]()
最近、なかなか姿を目にすることのなくなった海女(あま)さんが、その港町ではいまだに活躍していた。その日もいつもと同じように漁に出る海女さんたち。そこには海女の中田恵子と荒澤真知子の姿があった。
中田:どうしたの、真知子?早くしないとみんなもう潜っていったよ。
荒澤:ごめんなさい、恵子さん先行っててください。なんか紐が絡まってて・・・
中田:わかった、じゃ先行ってるね。
荒澤:はい。

その数十分後・・・数人の海女たちは陸にあがっていた。
海女A:今日はなかなか獲れなかったわね。
海女B:そうね、波も少し荒かったし、海流の動きも微妙に変化してたみたいだし。
海女A:今日はこのへんであがるとしようか。
海女B:そうですね。あれ?恵子さんは?まだ潜ってるのかしら?
海女A:おかしいわね・・・私たちよりも後に潜ったはずなのに・・・
海女C:真知子ちゃん一緒じゃなかった?
荒澤:いいえ・・・別行動でしたけど・・・
海女A:それじゃ、まだ潜ってるのかしらね。もう少しだけ待ってみましょう。
数分後・・・
海女C:あっ!あれ、恵子ちゃんじゃない?
海女A:そうね、あれは恵子ちゃんね。やっとあがってきたんだわ。恵子ちゃん!こっちよ!
海女B:あれ?なんか様子おかしくないですか?
海女C:恵子ちゃん!
海女A:大変!気を失ってるわ!誰か救急車呼んで!
そう言うと、海女たちのリーダーである海女Aは恵子を助けに海に飛び込んで行った。
やがて救急車が到着したが、既に中田恵子は大量の海水を飲んでおり、溺死していた。
荒澤:恵子さん・・・どうして・・・何で恵子さんが死ぬの・・・
海女A:真知子ちゃん、離れて。私たちだって悲しいのよ・・・
そこへ警察が到着した。
刑事:すいません、前空けてください、通ります。千葉県警の者ですが、皆さん申し訳ないですが詳しく事情お聞きしたいので、少しお時間もらえますか。
そこに現れたのは、偶然別の事件の捜査で千葉県警を訪れていた松岡さつきだった。

松岡:私も事件の捜査に協力させてもらっても宜しいでしょうか。
刑事:う~ん・・・これはうちの管轄で起きた事件だけど・・・まあ、いいでしょう。
その後、海女さんによる状況確認が行われ、現況から判断して事件は事故死ということで処理された。しかし、さつきは何は腑に落ちない感覚にとらわれていたのも確かだった・・・
数日後、さつきは城北署にいた。会議を終えた捜査一課長大林光司が戻ってきた。
大林:松岡!千葉で事件に出くわしたんだってな。大変だったな。
松岡:はい。でも課長、事件は事故死という事で処理されたんですが、私は何か腑に落ちないんですよ・・・
大林:何がだ?
松岡:何か、事故に裏があるような気がして・・・
大林:裏?おまえ、こないだの大学生殺人事件で湯川の変な影響受けたな。いいか松岡、事件に裏なんていうものはあるわかがない!事件にあるのは「人が人を殺す」、それだけだ。あんまり、湯川には関わるな!刑事としての腕が鈍るぞ!わかったか!
松岡:はい・・・
さつきは大林の言葉になぜか納得できないものがあった。湯川の人間味とはまるで正反対のその言葉に何か疑問を感じていた。そして、さつきの足は気がつくと聖愛大学
にたどり着いていた。そんなさつきの姿を見つけたのは湯川の助手藤本翼だった。
藤本:あれ?さつきさんじゃないですか!僕ですよ、藤本翼です。ほら、先日の事件の時に!
松岡:ああ、湯川教授の助手の翼くんね。
藤本:はい!今日は?遊さんに用事ですか?
松岡:い、いえ・・・
藤本:ほら、そんなとこでモジモジしてないで、どうぞ研究室のほうへ。
松岡:は、はい。
翼の案内のもと、さつきは湯川遊、通称「ガリナオ」の研究室に着いた。
藤本:遊さん、こないだの刑事さんが来ましたよ!
松岡:どうも、失礼します。
湯川:おう!さつきじゃないか!
松岡:だから、“さつき”ってなれなれしく呼ばないで!
湯川:いいじゃないですか、僕達の仲なんだから。
松岡:何の仲でもないのに、そういう言い方やめてくれます!
湯川:まあいいでしょう、でもそんなに怒ってばっかりいるとシワが増えますよ。
松岡:何ですって!
湯川:怒った顔も、実に素敵だ。
松岡:もう、ふざけないで!私、帰ります!
湯川:何か用事があって来たのでは?
松岡:・・・・・もう!
さつきは、腹が立つ思いもあったが、どうしても事故の中身を湯川に話したくて詳しく事情を説明した。
湯川:なるほど、実におもしろい。海女さんというのは、通常は何分くらい潜っていれるものなんですか?
松岡:通常は15分~20分だそうです。でも、その時の被害者は30分以上は海の中に潜っていたそうなんです。
湯川:なるほどね、さっぱり解らない。
藤本:遊さん、海女さんって若い女の子ともいるんっすかね!もしかしたら合コンとかも・・・
湯川:翼くん、不謹慎だぞ。
藤本:すいません・・・
湯川:よし、すぐに海女さんのところに行こう!そして夜は合コンだ。
藤本:そうこなくっちゃ!
松岡:ちょっと、あんたたちね!

湯川たちは事故現場に到着していた。
湯川:なるほど、ここで事故が起きたというわけか・・・うん?
湯川は岩場で何かを見つけたようだった![]()
湯川:この岩場と海面の縁に付着している紐は何だ?
松岡:それは、海女さんが潜るときに体に巻きつけたり、身にまとっている装束を縛っている紐です。頑丈にできてはいるのですが、潜っている最中に時々取れたりすることもあるそうです。
湯川:事故の会った日、ここにもこれと同様のものは?
松岡:確か、数本は落ちていましたけど。
湯川:この岩にだけ何かを引きずったような後がある。
松岡:・・・本当だ!事故の日には気がつかなかったわ。
湯川:そうでしょうね。岩場のように海水の塩分が含まれたようなところでは、傷のようなものはすぐにはその跡が出にくいものです。数時間、あるいは数日たってから痕跡が浮かびあがってくるものです。つまり、この跡は事故のあった日よりも前に付いたものではなく、事故のあったその日かそれ以降になる。
松岡:凄い、どうしてそこまで解るの・・・
藤本:遊さん、こっち来てください。これは何ですか?

藤本:これがこの岩場の間に落ちていました。何かの布の切れっぱしみたいですけど。何ですかねこれ?○×ゲームでもやるんっすかね?
湯川:翼くんの発想は実におもしろい。うん?これは、実に興味深い!
松岡:何なのこれ?
湯川:これは「ドーマン」という魔除けです。
松岡:魔除け?
湯川:これは三重県の鳥羽や志摩などの海女さんが海に潜る際に身に着ける、一種の“魔除け”のようなものです。同じもので、「☆」のマークをした「セーマン」というものもある。さつきさん、ここの海女さんの中に三重県あるいはそれに近郊した地域の出身の人はいましたか?
松岡:確か一人、和歌山県出身の人が・・・名前は荒澤真知子。

湯川:・・・・和歌山県出身の海女がひとり、ドーマンがあり、岩場に残る痕跡・・・実におもしろい。
松岡:だから、おもしろいでなくて!

湯川は近くにあった小石を手に取り、岩に計算式を書き始めた![]()
松岡:ちょっとあなた、また何を始めるの!
藤本:黙って見ていてください。今の遊さんに何を言っても聞こえませんから。

しばらくすると湯川は計算を終えた。
湯川:そうか、なるほど。実におもしろい。
松岡:何?何か解ったの?
湯川:ええ、この事件の全貌がね。
松岡:事件?これは事故ではないのね?
湯川:そうです。さつきさんが何か腑に落ちないと思った勘は正しかった。これは紛れもない殺人事件です。ただそれはあくまでも僕の推測です。今からそれを立証してみないと何とも言えませんがね・・・
数時間後、事件のあった時間と同じ時間を選び、実験を開始する湯川の姿があった。湯川と翼は地元の漁師から借りたウエットスーツと酸素ボンベを身に付けていた。
湯川:翼くん、準備はいいか!
藤本:はーい。じゃ、今から潜りますね。
ドボォーン!
翼が潜ってから数分後、湯川も潜る態勢に入った。そして湯川の手には紐で縛りつけた一つの氷の塊があった。
松岡:その氷は何なの?
湯川:これがこの事件の凶器だ。
松岡:凶器?どういうこと?
湯川:いいから、見ててください。
そう言うと湯川も海へと潜っていった。
それから数分後・・・先に湯川が海面にあがってきた。
湯川:今から事件の真相が明らかになる、よーく見ているんだ。
その湯川の言葉の数分後、海面にあがってきたのは翼だった。まるであの日の中田恵子の死体のように浮かびあがってきた。
松岡:ちょっと!大丈夫なの!生きているの?
湯川:もういいぞ、翼くん!
藤本:プワッ、フッー!ハッー、ハッー!30分間も海の中って結構しんどいですね。
そして、海面には氷を縛っていた紐も浮かびあがってきた![]()
湯川:やはり、これで間違いない。犯人は荒澤真知子だ。
松岡:どういうことなの?
湯川:氷のような固体を融解するにはある程度の温度が必要だ。しかし、海の中ではある程度の時間がかかってしまう。そこで犯人は、紐で縛った氷を海中で被害者の体にしばり付け、その重みで被害者は海面にあがって来れないようにしたんだ。時間が経つにつれ、いくら海女さんの被害者でも窒息して溺死する。そしてその時間に合わせるようにちょうど氷が解け、死んだ遺体は浮遊してくるという仕掛けだ。ただ、誤算なのは紐も一緒に浮かんでくるという事。そして犯人の犯したミスは、あまりにも氷が重く、岩場に少しの傷跡を残してしまったという事だ。
松岡:でも、そんなに氷がうまく時間に合わせて解けるものなの?
湯川:ムペンバ効果というものを知っていますか?
松岡:いいえ・・・
湯川:ムペンバ効果というものは、特定の状況下において高温の水がより低音の水よりも短時間で凍るという現象だ。犯人はこれを逆に融解に利用し、氷を海面で時間を計ったかのように融解させたんだ。これには入念な計算と巧妙な技が必要だがね。犯人がどこでこの知識を学んだまでは解らないが、それだけ相手に対する憎悪があるということは確かでないかな。
松岡:でも、どうして荒澤真知子が犯人だと?
湯川:犯人は氷を持って海に潜らなければならない。そうなると誰もいない一番最後に潜るしか手段はない。そして岩場に落ちていた魔除けのドーマンだ。魔除けの習慣のある海女さんがあれを付けないで潜ることは極めてまれだ。どうしてそれを付けずに潜ったのか?それはそれを結んでいた紐を、氷を結ぶ紐に代用しなければいかなかったからだ。それが事件の真実だ![]()
松岡:そんな・・・
その後の警察の取調べで荒澤真知子は湯川の推測の通り、殺人を自供した。
荒澤は同じ海女の先輩である中田恵子が影で自分の悪口を言い放し、自分が交際中であった男にも嘘の情報を吹き込み、別れさせたのだった。それは、自分だけ幸せそうな真知子への嫉みからくるものであったそうだ。そんな事を全て知ってしまった真知子は「恵子殺し」を計画し実行してしまったのである。これも、恨みという憎悪が生んだ悲しくも切ない事件なのだ。
大林:松岡、またお手柄だったな。また、ガリナオの知恵を借りたそうだな。
松岡:え、ええ・・・
大林:言っただろ、あいつには関わるなと。
松岡:でも実際、事件は解決したんですよ。私たち警察にだって解らない事はあるはずです。その解らない事を人に教えてもらう事ってダメなんですかね?
大林:・・・今回だけは見逃してやる。いいか、あいつに関わるな!
松岡・・・・
さつきはまた、湯川の研究室を訪れた。夕陽が差し込む中、研究室には研究に没頭する湯川がいた。
松岡:失礼します。
湯川:また、さつきか。また何か事件でも?うん?今日は何か元気がないね。
松岡:いえ、先日の御礼が言いたくて・・・
湯川:君に御礼をされるうような事は何もしてないよ。
松岡:どうして、素直に聞いてくれないんですかあなたはいつも。
湯川:・・・・
松岡:ありがとうございました。
湯川:い、いや・・・ど、どういたしまして。
松岡:それだけ言いたかったので、それじゃ失礼します。
湯川:ちょっと待って、君はあの事件をどう思う?
松岡:どうって?
湯川:科学の世界には「嘘」はあり得ない、そこにあるのは「真実」ただひとつだ。しかし、人間という生き物は時には「嘘」もつく。嫉んだり、恨んだりもする。だから時には人を簡単に殺してしまう。僕は毎日、「嘘」のない世界と時間を共有している。目の前にあるただひとつの「真実」を追究して生きている。でも、君は「人間の真実」を追究しなければならない・・・そこに答えなんてないんだよ。だから、だから・・・
松岡:ありがとう、遊!何か元気出たから、帰ります!
そう言うと、さつきは笑いながら研究室の扉を開け出て行った。
遊はそんなさつきの笑顔を見て、少し安堵した。
湯川:・・・うん?今、「遊」って呼び捨てしたな!まっ、いいか(笑)![]()
湯川は窓の外から沈む夕陽を見ながら、コーヒーを口に運んだ。砂糖を入れていないブラックーコーヒーの味が今日だけは少しほんのり甘く感じた・・・
~to be continued~
さて、長々とお付き合いありがとうございました。今日の『ガリナオ』はいかがでしたか?実におもしろかったですか?次回第
話もお楽しみに![]()
それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)
<今日の誕生日:11月3日>
小林旭(70歳)、神取忍(44歳)、神奈月(43歳)、原口あきまさ(33歳)、武幸四郎(30歳)、錦戸亮(24歳)
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