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2007年12月 7日 (金)

夜明けの流星たち(第19話)

こんばんにゃ~ 北の猫男爵です。

さて、からお送りしてきた連続ブログ小説「ヨアリュウ」も、とうとう大詰めを迎えました。気がつけば季節はを通り越しになってしまいましたね。皆さんが、飽きずに見ていてくれているのか少し不安を抱えつつも、今日は第19話をお送りしたいと思います。

遂に博人は玲奈が白血病であることを知ってしまう。絶望の中で、博人は玲奈の生きる支えになることを改めて決意する。そして玲奈にとっては博人の存在だけが、生きる望みになっていた・・・そんな中、二人はほんの少しの時間だけ面会が許され「涙のキス」を交わしたのであった・・・それでは続きをお楽しみください!

『夜明けの流星たち』  脚本・演出:猫男爵

☆Story19☆ 『未来のために』

博人玲奈聖北総合病院に運ばれてから一週間が経とうとしていた。博人は傷も癒え、今日が退院の日であった。玲奈も状態は安定し、治療に専念していた。

博人は眠っている玲奈の顔を見て病室から出てきたところだった。

『お母さん、玲奈はぐっすり眠ってました。今日は少し症状が落ち着いているみたいです。僕は今日は家に帰って、明日から仕事に出る事にしますけど、またすぐに会いにきますから。お母さんもあまり無理しないでくださいね。』博人は少し疲れが溜まっている真知子に優しく声をかけた。

『博人さん、本当にありがとうね。毎日あなたの顔を見れたことで、玲奈がどれだけ勇気を持てたことか。玲奈が今落ち着いて、病気と闘っていられるのもあなたのお蔭よ。』真知子は博人に心から御礼を言った。

『そんなことないですよお母さん。玲奈は自分自身の力で病気に勝とうとしているんです。』博人は少しうつむきながら話した。

そこへ二階堂が二人の前に姿を現した。

『鈴木さん、それから川嶋さんも、玲奈さんの気力を信じましょう。きっと病魔に勝ってくれますよ彼女なら。こんなに心強い味方がいるんだから。』そう話す二階堂の目が少しだけ潤んでいた。

『先生!お願いします!玲奈を、助けてやってください。お願いします!』博人は深々と頭を下げた。

『できるだけの事は全力でします。』二階堂は唇を強く噛み締めた。

その頃、拓実涼子の働く花屋の近くのカフェで涼子と話しこんでいた。

『博人さん、今どんな気持ちなのかしら・・・自分の愛する人を助けたくてもどうすることもできないなんて。玲奈ちゃんがそんな病魔にかかるなんて・・・』拓実から玲奈の事を聞かされて、涼子もかなり落ち込んでいた。

『愛する人を目の前にして、何もできないもどかしさって地獄だよ。自分を責めて、未来が信じられなくなって、生きている意味さえわからなくなる。でも、そんな気持ちを変えなきゃ、未来を信じなきゃ、そこからは脱出できないんだ。愛する人を救うためには、どんなに辛くても信じなきゃ!未来のために・・・』拓実は自分の涼子に対する思いとだぶらせるように、思わず熱く話した。

『桜木君、どうしたの?まるで自分の事みたいに・・・』涼子が不思議そうに尋ねた。

『いや、きっとそうなんじゃないかなって。前に、俺の友達でそんな事を言っていた奴がいたからさ。』拓実は笑いながらごまかした。

涼子は不思議そうな顔をしながら拓実を見ていた。

博人は自分のアパートの前に重い足取りで辿り着いた。

『博人君、お帰り。』美里が店から出てきて声をかけてきた。

『美里さん・・・俺・・・』

『お友達から話は聞いているわ。辛かったね、よく耐えたね。』

そう言葉をかける美里の顔を見ていると、博人はもう涙が止まらなかった。

『美里さん!』思わず博人は我を忘れて美里の胸で泣き崩れてしまった。

『大丈夫よ、きっと玲奈ちゃんは戻ってくる。絶対に博人君のもとに帰ってくるよ。』美里も溢れ出しそうな感情を抑えながら、必死に泣き崩れる博人をなぐさめていた。

翌朝、博人の勤める会社では部長の大木と後輩のが打ち合わせをしていた。

『山崎、さっきのコストを10%ダウンさせて、別の資材にまわしてみろ。その方が一番懸命な策だ!』

『わかりました。それでやってみます。』

そこへ博人が姿を現した。

『先輩!もう大丈夫なんですか?』博人に真っ先に声をかけたのは稔だった。

『ああ、もう大丈夫だ。心配かけて悪かったな稔。』博人は少し微笑みながら稔に話した。

『部長、この度は大変ご迷惑をかけました。俺のせいで大事なNSEとの契約を破棄にしてしまって・・・本当に申し訳ございませんでした。』博人は大木に深々と頭を下げた。

『川嶋、もうケガの方は大丈夫なのか?無理するな、体は大事にしないとダメだぞ。しっかり治してからでもいいんだぞ仕事は。』大木は優しく博人に話しかけた。

『ありがとうございます部長・・・実は、これを・・・』そう言うと博人は「退職願」と書かれた紙を大木の前に出した。

『何だ川嶋、これは何の真似だ?』

『今回のミスは重大なミスです。会社に対し膨大な損害を俺はもたらしてしまいました・・・これは自分なりに考えた責任の取り方です。部長、これで済む事ではないのはわかっていますが、お願いします、受け取ってください。』博人は深々とまた頭を下げた。

『先輩・・・』稔は心配そうに呟いた。

『川嶋、頭を上げろ、これは受け取れない。』

『部長、どうしてですか?俺がした事は・・・』

『川嶋、お前がいつ会社に損害を与えたって?損害を与えるどころかお前は大きな業績を上げたじゃないか。なあ、そうだろ山崎?』大木はそう言うと稔の顔を見た。

『業績?』博人は不思議そうな顔をして稔を見た。

『先輩、NSEとの契約は成立したんですよ!』稔は笑って博人に話した。

『えっ?それは本当の話なのか稔!』

『本当だ川嶋!一時はどうなることかと思ったよ。俺も必死に頭を下げに行ったが、どうもこうも埒があかなくてな、もう半分諦めていたんだ。そんな矢先に、先方から連絡があってな、契約をもう一度正式にお願いしたいと言うんだ。聞けば、「川嶋」という男が毎日入院先の病院から電話で謝罪して、何とか契約をお願いしたいと必要に訴えかけてくるというじゃないか。その熱意に負けて、正式に契約を取り交わしたいと言うんだよ。』大木がその経緯を話した。

『先輩、この一週間毎日病院からそんな事をしていたんですね。やっぱり先輩はこの会社にとって必要な人です。俺、先輩についてきて本当に良かったです。』稔は本当に心から嬉しそうな表情で言った。

『部長、俺・・・』

『もういい、何も言うな川嶋。まだまだお前にはこの会社を引っ張って行って貰わないといけないんだ。こんな紙くずは必要ない、いいな。』そう言うと、笑みを浮かべ大木は博人が出した退職願を破り捨てた。

『部長・・・ありがとうございます。』博人は精一杯のかすれた声で小さく頭を下げた。

『さあ、みんな今日も一日気合入れて頑張るぞ!』大木はそう言うと部屋を出て行った。

博人にはその大木の背中がいつも以上に大きく、そして優しい背中に見えて仕方なかった。

その頃、仕事が休みだった涼子は部屋で掃除をしていた。

『よし、これでここはOKと。そうだ!ついでに純平の部屋も掃除するか。あいつは散らかしっ放しだからな。うわっ、何この汚さ!これは大仕事だわ。あれ?これは何かしら?昔の写真ね・・・』

涼子は純平の部屋を掃除しながら見つけた昔の写真を見ていた。

『純平ったらまだ小さい、中学生くらいかしら?私もまだ若いのね。こんな時期もあったんだよね。うん?この男の人は、桜木君?何でここに桜木君が・・・』

涼子は自分の目を疑った。しかし、日付は涼子が震災の被害に遭い記憶を失う前の日付、どうして出会う前の拓実が自分と一緒の写真に写っているのか、涼子は遂に開けてはいけないパンドラの箱を開けてしまったのだ・・・

涼子は走った。今までの事を少しずつ思い出しながら、拓実が自分に優しくしてれる姿、いつも側で笑ってくれていた事、でも何故出会ってるわけがないはずの二人が一緒の写真に写っているのか・・・拓実は本当はずっと前から自分の事を知っていて、何かを隠していたのか・・・様々な事が頭の中を駆け巡りながら必死に走っていた。拓実に真相を確かめるために・・・

そして涼子は拓実の会社に到着した。

『すいません、桜木君はいますか?』涼子は息をきらしながらも事務の岡崎カオリに尋ねた。

『桜木さんは今日は現場ですけど、どちら様ですか?』カオリは涼子に尋ねた。

『橘というものですが、どうしても急用で会って話がしたいんです。その現場を教えてもらえないですか?』涼子は必死にカオリに言った。

『わかりました。』そう言うとカオリは涼子に現場の場所を記したメモを手渡した。

『ありがとうございます。』涼子は御礼を言うとすぐにまた走り出していった。

聖北総合病院では玲奈が必死に病気と闘っていた。真知子が今日も側に付き添っていた。

『玲奈、大丈夫?無理しないで横になってなさい。』

『うん、大丈夫よ。それよりお母さん、私が眠っている間にもし博人が来たら、これを渡しておいて。汚いけど絵を描いたの。ここから見える「夜空」と「流れ星」。実際は見た事ないんだけど、博人と海に行った時に見た流れ星を思い出して描いたの。きっといつかまた二人で見れますようにって願いをこめてね。』玲奈は満面の笑みを浮かべながら真知子にそう話しかけた。

真知子はそんな玲奈の顔を見るのがとても辛かった。

玲奈は自分の死期を感じとったかのように、優しいそして穏やかな表情を浮かべていた。博人の願い、玲奈の願い、それはもう一度二人で同じ夜空に輝く流れ星を見ることだった・・・都会の夜空はそんな二人の願いを受け入れてくれるのか・・・そして、一方で涼子は開けてはいけない「パンドラの箱」を開けてしまった。拓実と涼子に間にせまる過去と現在の真実は・・・様々な思いが様々な人の胸の中で揺れ動き、何かが起きようとしていた。そして、そこに起きようとしている現実からは誰も逃げることはできないのであった。すべては「未来のために」・・・  To be continue

いかがでしたか第19話は?いよいよ次回は「夜明けの流星たち」最終回です!博人と玲奈の運命はどうなるのか?そして涼子と拓実の前に現れた過去の扉は、開かれるのか?感動のクライマックスは、90分拡大版(ドラマ風で言うと)でお送りしたいと思います!涙腺の弱い方は、ハンカチをご用意してくださいね。それでは最終回を乞うご期待!

それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)

(今日のマニアック有名人しりとり)

こ コンテ(元イタリア代表のサッカー選手。ポジションはMF。1990年代のユベントスを引っ張ったチームのリーダーだった。代表としても1994年のアメリカW杯の準優勝メンバーである。)

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コメント

こんばんは~。
少々心配になってるようだけど
ちゃんと読んでるよ(笑)。
連ドラひとつも見てないけど、
ヨアリュウはかかさず読んでる。
最終回楽しみにしてるよ。

投稿: fotofoto | 2007年12月 8日 (土) 19時20分

fotofotoさん
こんばんは。
心強い声援ありがとうございます!
ちょっと不安だったのですが、凄く安心しました。
長編になってしまってスイマセン・・・
最終回をお楽しみに!

投稿: 猫男爵 | 2007年12月 8日 (土) 21時05分

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