夜明けの流星たち(第18話)
こんにちにゃ~ 北の猫男爵です。
12月になり、街の景色もクリスマス色に染まってきましたね。今年のクリスマスは一体どんなクリスマスになるのかなぁ・・・そんな事を想う今日この頃です。
さて、今日は連続ブログ小説の第18話をお送りします。いよいよ今回を入れて残り3話となりました。ドラマは予想をもできない展開へと向かっていきます。
野崎の暴挙から身を呈して玲奈を守った博人の前に、待ち構えていたのは病魔に倒れた玲奈の姿だった。そして今、二人を乗せた救急車は出会った日と同じように、名もなき運命へと走り出していた・・・それではどうぞ続きをどうぞ!
『夜明けの流星たち』 脚本・演出:猫男爵
☆Story18☆ 『涙のキス』
博人は病院のベッドの上で目を覚ました。救急車の中で博人は玲奈の手を握ったまま気を失ったのだ。
『・・・玲奈は?』博人はすぐに玲奈の事を心配した。
『気がついたのね博人!』そこには事件の事を知り、急いで駆けつけた彩香がいた。
『彩香・・・玲奈は?』博人は気がまた動転していた。
『玲奈ちゃんなら大丈夫だ。今、病室で眠っている。』彩香と同じく病院に駆けつけた拓実が博人にそう言った。
『拓実・・・本当なのか?玲奈は大丈夫なんだな!』
『ああ・・・』拓実は静かにうなずいた。
『良かった・・・』博人は安堵の表情を浮かべた。
『博人、お前は運が良いよ。お前は刺された傷はあと数センチずれていたら、心臓に刺さっていたんだぞ・・・無茶な事するなよ!』拓実が強い口調でそう言った。
『博人・・・博人が死んだら私・・・』彩香は泣くのを必死にこらえていた。
『ごめん二人とも、心配かけて。でも俺は玲奈を守りたかっただけなんだ。わかってくれ・・・』博人はうつむきながらそう答えた。
そこへ真知子が病室へとやってきた。
『川嶋さん、目が覚めたのね。』
『お母さん、玲奈は?』
『今日は本当にありがとうございました。玲奈をあの男から守ってくれて。そんな傷まで負わせてしまって・・・何て謝っていいのか・・・本当に感謝しているわ。』真知子は深々と頭を下げた。
『お母さん、やめて下ください。頭を上げてください。』博人がそう言うと、真知子は頭を上げて話しだした。
『川嶋さん、玲奈は今病室で眠っています、心配しないで下さい。ただ、川嶋さんに話しておかなければならない事がどうしてもあります。』真知子は意を決して話しだした。
『僕らは席をはずしますね。』気をきかした拓実がそう言った。
『いえ、いいの拓実さんも彩香さんもここにいて下さい。拓実さんには、ずっと黙っててもらって申し訳ありませんでした。』真知子は拓実の顔を見ながらそう言った。
『拓実、何だよどういうことだよ?』博人は拓実の顔を見た。
『博人さん、拓実さんを責めないであげてね。これは私からお願いした事だから。』真知子が拓実をかばった。
『はい・・・』博人は小さくうなずいた。
『お願いだから冷静に聞いてね川嶋さん。』
『はい。』
『実は今日、玲奈はあなたに自分の病気の事を伝えようとしていたの。』
『病気?』博人は不思議な顔をした。そして、ふと思い出した。玲奈が何かを話そうとした時の事を。
『実はあの子は白血病なの。しかも症状はあまり良いとは言えない段階なの・・・』真知子は涙交じりに博人に告白した。
『玲奈が白血病・・・』博人は放心状態だった。
『そんな、玲奈ちゃんが・・・』彩香もその突然の衝撃に襲われていた。
拓実はうつむいたまま唇を噛み締めていた。
『急性アル中でこの病院で運ばれた時に受けた検査で病気が見つかってね、ずっと玲奈にはその事を内緒にしていたんだけど、先生と話をしている所を玲奈とそれと偶然居合わせた拓実さん聞かれてね・・・だから、玲奈は自分の病気の事を知っていたの。』
『玲奈が・・・』博人はまだ信じられない表情だった。
『それが最近、症状が悪くなってきて先生から早急に入院するように言われたの。それで今日、玲奈は自分の口でどうしてもあなたに病気の事を打ち明けたいって・・・そう言って家を出たの。』
『そんな・・・』博人には言葉が見つからなかった。
『でもね川嶋さん!私も玲奈も決してあきらめたわけではないのよ!絶対に病気に勝つっていう強い思いでいるの。玲奈もこれから必死に病気と闘う決心でいるはずよ。だから、川嶋さんも玲奈の力になってほしいの!お願い!』真知子は泣きながら博人にお願いした。
『・・・・わかりました。』しばらく間をおいて博人は溢れる涙をこらえながら、声を振り絞りそう言った。
その後しばらく、博人の病室には沈黙とすすり泣く音だけが静かに響いていた。
やがて夜になり、拓実や彩香も帰り、博人はひとり病室で途方に暮れていた。そこに後輩の稔が入ってきた。
『先輩!大丈夫ですか!』
『稔・・・俺は大丈夫だ、心配するな。それよりNSEは?』
『ダメでした・・・契約をすっぽかすところは信用できないって・・・事情を説明したんですが聞いてもらえませんでした。』稔は落胆した口調で言った。
『そっか・・・悪かったな稔、お前にまで迷惑掛けちまって。部長は何て言ってる?』
『部長は先輩の事を凄く心配しています。本当ならすぐにでもここへ駆けつけたかったはずです。でも、今必死にNSEの説得に行っています。』
『部長・・・』博人は唇をぐっと噛み締めた。
『先輩、今はとにかく安静にしていてください。あとは皆で何とかしますから。』稔は必死に博人を励ました。
『稔、部長に伝えてくれ。責任は俺が取ると・・・』
『先輩・・・』
博人は稔にそうそれ以降、口を閉ざしてしまった。
拓実と彩香は博人のアパートに博人の着替えや日用品を取りに来ていた。
『とりあえずこれだけ持っていけばいいか。』
『そうね。』
そんな二人の行動を見て、「ロザーナ」から美里が飛び出してきた。
『あの、博人君のお友達かしら?』
『はい、そうですけど。』
『博人君に何かあったの?』美里は二人に問いただした。
聖北総合病院では真知子が二階堂に呼ばれていた。
『今後の治療方法は今話したように進めていくつもりです。私どもは全力は尽くします!ただ、最悪の場合も覚悟はしておいてください。宜しいですね。』二階堂のその言葉に真知子はうなだれて、首を小さく縦に振るしかなかった。
そして真知子が二階堂の部屋を出ようとした時、そこに博人が傷口を押さえながら歩いてきた。
『川嶋さん!』真知子は驚いて博人の名前を呼んだ。
『君!ダメだよまだ傷口がふさがっていないんだから!』二階堂も驚いて思わず叫んだ。
『お願いです、ほんの少しの時間でいいんです。玲奈の顔を見させてもらえないですか?お願いします。!』博人は痛む傷口を押さえながら、辛い表情で必死に懇願した。
『しかし、今は・・・』
しぶる二階堂を尻目に真知子が口を開いた。
『先生、私からもお願いします!会わせてあげてください。今のあの子に必要なのは生きるという強い力、つまり川嶋さんの存在なんです。川嶋さんの顔を見れば少しでもその気力が沸いてくるはずです。お願いします!』真知子のその激しい思いに、二階堂はしばらく考えた結果、答えを出した。
『わかりました。5分だけなら許可しましょう。ただ、あなたもまだ病人だ、傷もふさがっていない状態だ。絶対に彼女に触れてはいけませんよ。わかりましたね!』
『はい、わかりました。ありがとうございます!』博人は深々と頭を下げた。
真知子もまた感極まっていた。
やがて、博人は玲奈の病室の前に来た。病室は無菌室になっており、博人は専用の服と帽子にマスクを付けて病室へと入って行った。
少しずつベッドに近づく博人に玲奈が気がついた。
『博人・・・』ベッドの周りを透明なカーテンで隔離された玲奈がゆっくりと起き上がった。
『玲奈・・・』博人は玲奈のベッドの横に来た。
『博人、私・・・』
『何も言うな玲奈。大丈夫だ、俺がついているから。あいつに刺されたって俺は死ななかっただろ?そんな不死身な俺がついているんだ、玲奈だって死ぬわけないよ!そうだろ?』博人は笑いながら玲奈に話しかけた。
『博人・・・私、負けないよ!博人のそばにこれからもずっとずっといるんだから。こんな所にいつまでもいるわけにはいかないもん!』玲奈は泣きそうな思いを打ち消しながら博人にそう言った。
『そうだよ玲奈、病院にいたら玲奈の好きな海や遊園地だって行けないし、綺麗な星空だって見に行けないじゃないか。だから早く元気になってここを出ような。』博人は半分涙が零れ落ちそうになりながらも必死に話した。
『博人・・・』玲奈は涙を抑える事ができなかった。
博人もまた涙を抑えきれずに玲奈の元に一歩近づいた。
やがて二人はカーテン越しに口づけを交わした。溢れ出る感情をそのキスでなだめるように・・・
そして目を閉じた二人の頬を涙がつたった瞬間に二人は少しだけ微笑んだ。一瞬、二人だけにしかわからない時空を超えた愛情がそこには確かにあった・・・
二人の唇と唇の間には、透明なカーテンが立ちふさがっていた。そのカーテンは目の前にいるはずの二人の距離をとても遠く感じさせていた。ただ言える事は、現実は今二人の前に虚像なく立ちふさがり、その果てしない闘いに今二人は立ち向かおうとしているという事であった。 To be countinue
いかがでしたか第18話?玲奈の病気の事実を知った博人は、必死に玲奈の前で「生きる」こと呼びかけ、そして「玲奈を守る」ことを約束しました。涙の中で交わしたキスの温もりがきっと二人に幸せな結末をもたらしてくれることを祈りながら・・・いよいよこの物語も残り2話です。果たして二人に待ち受けている運命とは・・・次回第19話を乞うご期待!
それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)
(今日のマニック有名人しりとり)
う 宇野優美(うのゆみ。女性ファッションモデルとして多くの雑誌などで活躍する19歳。本名は小林優美だが、USEN社長の宇野康秀に直訴して名字を拝借し、宇野優美に改名した。)
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