こんばんにゃ~ 北の猫男爵です。
今日はいよいよ、8月から始まった連続ブログ小説『夜明けの流星たち』の最終回です。
小説というものは自分の頭の中で描かれるものを文書にするという、なかなかやっかいな作業なんですが、これが実際やってみるとおもしろいものです。想像力というものが養われますし、書いているうちにどんどんと楽しくなっていきました、僕の場合は(笑)
皆さんの中にも経験のある方はいるとは思いますが、まだの人はもし時間があればいつか挑戦してみてください。
今日は最終回ということで90分拡大版(ドラマ風に言うと)でお送りします。
玲奈は自分の病気との闘いにある程度の覚悟を決めていた。そこには「死」というものが背中合わせである事も覚悟していた。しかし、博人が必死に崩れそうになる玲奈の心を支え続けていた。一方で、拓実と涼子の関係にも動きが・・・涼子が遂に過去の真相にたどりつくことに・・・それでは最終回をどうぞ!
『夜明けの流星たち』 脚本・演出:猫男爵
☆Last Story☆ 『さらば愛しき人よ』
涼子は拓実のいる建築現場に到着した。
『すいません、ここに桜木さんはいますか?』
『桜木さんなら、ああ、あそこだ、ほらあの黄色のヘルメット被ったあの人だよ。』工事現場の作業員が拓実の事を指差して教えてくれた。
『ありがとうございました。』そう言うと、涼子はゆっくりと一歩ずつ拓実のもとに近づいていった。
そして拓実のすぐそばまで来たところで拓実が涼子に気がついた。
『涼子ちゃん!どうしたのこんな所に来て?』拓実は驚いた表情だった。
『桜木君にどうしても今すぐ聞いたい事があって!この写真は何?何なの一体?あなたは何者なの?私の事ずっと前から知っていたんでしょ!なのに、知らないふりをして私をだまして何が目的なの!』涼子はきつい口調で拓実に言った。
『・・・涼子ちゃん。違うんだよ、これには理由があって・・・』拓実は困惑していた。
『理由?何よその理由は!言ってみなさいよ。全部、全部嘘だったの?私と偶然病院で出会った事も、私の記憶が無い事を知って近づいてきたのね!過去の私の何をあなたは知っているの!』涼子は激高していた。
『違うんだ涼子ちゃん!俺は・・・』
『何が違うのよ!』
『聞いてくれ!実は俺は・・・』
その時だった!轟音を響かせて二人の頭上に工事に使う鉄骨が上の工事現場から落ちてきたのだ!
『危ない!』拓実はとっさに涼子を突き飛ばした。
『グォーン!!ガシャガシャ!!』
とてつもない音を立て、砂埃が舞った。
『えっ・・・』涼子には何が起きたか理解できなかった。
『おーい!誰か下敷きになっているぞ!みんな手伝え!』周りにいた作業員が大声をあげ、みんなを呼び寄せた。
『おい、誰か救急車を呼べ!桜木さんが下敷きになっている!』
そんな作業員の声を聞き、涼子はやっと我に返った。
『そうだ、さっき桜木君と・・・桜木君、桜木拓実・・・拓実、タ、ク、ミ・・・』
涼子の中で過去と現在の記憶が今、融合しようとしていた。先ほどの強い衝撃で涼子の記憶喪失に変化が生じたのだ。
『桜木さん!大丈夫か!今、どけてやるからな!』作業員が声をかけながら必死に鉄骨を取り除いた。
そこには顔から血を流し、横たわる拓実の姿があった。
『拓実!拓実なのね!』涼子は拓実のもとに駆け寄った。
『私を助けてくれたのね拓実!お願いだから目を開けて!』
涼子の記憶は完全に蘇った。涼子は拓実の顔を抱えながら必死に拓実の名前を叫んだ。
『拓実!お願い!』
すると、拓実がゆっくりと目を開けた。
『涼子・・・今、俺の事を拓実って・・・涼子、記憶が蘇ったのか?』本当にわずかしか出ない声を振り絞って拓実は涼子の顔を見ながら話した。
『うん、・・・私、今まであなたの事に気が付いてやれなかった。あんなにいつも側にいてくれたのに、いつも私を守ってくれていたのに、あなたの愛情を、あなたの思い出を、思い出せなかった・・・許して拓実。』涼子は泣きながら言った。
『許すに決まってるだろ、涼子は何も悪くないんだから。でも良かった、こうしてまた元の二人に戻れて、それだけで俺は幸せだよ。もっと、いっぱい涼子と話しがしたかったな・・・』拓実は少し笑みを浮かべながらも、時折苦しそうな表情を見せた。
『拓実?何言ってるの!これからいつも一緒だよ、前みたいに二人でいられるよ!』
『ダメだよ涼子・・・神様がダメだった言うんだ・・・俺、死ぬの怖いよ涼子・・・だって今度は本当に一人ぼっちになっちゃうよ俺・・・涼子に会いたくても、もう会えないなんて嫌だよ・・・』拓実の目からは大粒の涙が零れだしていた。
『拓実、何言ってるのよ!死ぬわけないでしょ拓実が!生きて、生きるのよ!じゃないと、何のために私の記憶は蘇ったの・・・拓実、お願い死なないで!拓実!』涼子は自分の気持ちを抑える事ができなくなっていた。
『涼子、これ・・・』そう言うと拓実は自分の首につけているペンダントを涼子に手渡した。
涼子は何も言わず溢れる涙を拭いながらそのペンダントを開けてみた。
『これは・・・』
そこには笑った涼子の写真が入っていた。
『涼子、俺はお前に出会えて本当に良かった。幸せにしてやれないのが心残りだけど、だけどお前は俺の分も強く、そして笑って生きてくれ。いつまでもその写真の涼子のままでいてくれ。俺は遠くからちゃんと見ているから、困った時は空を、空を見上げろ涼子・・・わかったか涼・・・』そう話すと、拓実はゆっくりと目を閉じた・・・
『拓実、拓実!嫌、嫌だよ!私を一人にしないで拓実!拓実!』涼子の悲痛な叫びが悲しくも響き渡った・・・
どれくらいの時間が経ったのだろう、涼子は聖北総合病院の霊安室にいた。側では泣き崩れる純平の姿もあった。
『拓実さん!何で・・・姉ちゃんを幸せにするって約束したじゃないかよ!』純平は目を真っ赤に充血させながら拓実の亡骸に寄り添っていた。
そこへ一報を知らされ、大急ぎで駆けつけてきたのは彩香だった。
『拓実?違うよね、何かの間違いでしょ・・・ねえ嘘でしょ涼子?何とか言ってよ!』彩香もまた取り乱していた。
『彩香、私どうしたら・・・拓実はもう・・・』
『涼子、あなた記憶が戻ったの?』
『うん・・・でも拓実が・・・』
『涼子・・・』
二人はただ泣き崩れるしかなかった。
そこへ博人が全力疾走で走ってやってきた。
『何があったんだよ!拓実?拓実なのか?』博人はおそるおそる拓実の亡骸に近づいていった。
『おい拓実、何そんな所で寝てるんだよ。なあ拓実、ここはお前なんかがいる所じゃないだろ・・似合わねえよお前にこんな所は・・・目を覚ませよ拓実!何ふざけてんだよ!拓実!』博人は泣きながら拓実の体を揺さぶった。
『ごめんね博人、拓実はもう・・・』
『涼子、今何って言った?拓実って言ったよな?』
『涼子は記憶を取り戻したのよ・・・拓実は自分の命と引き換えに涼子の記憶を・・・』彩香が泣きながら博人に話した。
『拓実、何してるんだよお前は・・・どうしてそんなに最後まで格好つけるんだよ!これから俺は誰に愚痴をこぼせばいいんだよ!誰と真剣に喧嘩すればいいんだよ!拓実・・・お願いだから起きてくれよ・・・拓・・・』博人は膝から地面に崩れ落ちた。
そこへ看護師の一人が入ってきた。
『この度はご愁傷様です・・・実は桜木さんはうちの病院で骨髄バンクにドナー登録しておりまして、ご遺体の手続が終了次第、骨髄の採取に取り掛かりたいと思いまので。』
その看護師の一言にみんなは一瞬、時が止まった。ただ、死んだ拓実の顔だけが少し笑っているように見えたのであった・・・
2年の時が過ぎた・・・
世界は何事も無かったかのように、当たり前に時を刻んでいた。
拓実が命を落とした建築現場には、拓実が手掛けていた総合アミューズメントビルがその立派な姿を成していた。
そして、そのビル中にある小さなチャペルで今日、一組のカップルが夫婦の契りを交わそうとしていた。
博人はその結婚式に出席するためにこのビルを訪れていた。
『博人!こっちだよ、こっち!』博人を見つけた彩香が博人を呼んだ。
『おう、彩香もう来てたのか。』博人は彩香のもとへ向かった。
新郎新婦の控え室には拓実の上司だった古屋の姿があった。
『このビルをデザインした桜木拓実に代わり、今日は私から一言お祝いを述べさせていただきます。このビルの中にあるチャペルは当初、建築予定外のものでした。しかし、桜木の強い要望、ここで多くの方の幸せを自分は見届けたい・・・と、そういう要望があり、このチャペルを作るに至りました。今までにここで既に99組の男女が夫婦の契りを交わしております。そして今日は記念すべき100組目があなたがたお二人です。今日は桜木に代わり、心から祝福したいと思います。おめでとう、橘純平君、富樫真希さん。きっと桜木も天国から祝福しています。』古屋が少し目を潤ませながら話した。
『拓実さん、ありがとう。』純平もまた心から拓実に感謝をしていた。
同じビルの1階には「ローズ・マリー」というお花屋さんが入っていた。これも拓実が独自に提案して採用されたものだった。
『店長、この花はどこに置けば・・・』まだ入って間もないアルバイトの女の子が尋ねた。
『えっとね、それは奥から2番目の棚の前にお願い。あっ、もうこんな時間!それじゃ私、これから3階のチャペルで結婚式があるから、あと宜しくね!』そう言って店を出てエレベーターに向かったのは涼子だった。
チャペルでは結婚式が始まっており、純平と真希は永遠の愛を誓っていた。
『二人とも幸せそうね。』彩香が博人に話しかけた。
『純平と真希ちゃんの事だから、オシドリ夫婦ってとこだな。』博人も笑って二人を祝福していた。
『拓実、見える?二人とも幸せな顔してるよ。良かったね拓実。』涼子は拓実に死ぬ間際に手渡されたペンダントを開いて、純平と真希の方に見せていた。そのペンダントの中には、拓実の笑った写真が入っていた。
その時、博人の携帯がマナーモードで鳴った。博人はチャペルを出て電話に出た。
『はいもしもし、あっ、お母さん。えっ!わかりました、すぐに行きます!』博人は真剣な表情でそう答えた。
そして一旦、チャペルの中に戻った。
『悪い、俺病院に行かないと。今、玲奈のお母さんから連絡があって・・・』博人は彩香と涼子にそう告げるとチャペルの出口に向かった。
その出口のすぐ側には、このチャペルで式を挙げた夫婦の記念パネルが順番に飾られていた。これも拓実がここを建てる時にデザインしたものだった。その記念パネルの第1号の写真には笑顔で並ぶ博人と玲奈の姿があった・・・
博人は聖北総合病院に着いた。博人は大急ぎで手術室の前に来た。
『お母さん!玲奈は?大丈夫なんですか?』
『もう、入ってからだいぶ時間が経つんだけど・・・』
と、その時。
『オギャー!オギャー!』
それは元気な産声だった。
やがて間もなくして、赤ちゃんと一緒に玲奈が出てきた。
『玲奈!』博人は思わず玲奈の元に駆け寄った。
『博人・・・』玲奈は元気な笑顔を見せた。
『元気な男の子ですよ。』看護師が笑って赤ちゃんを見せてくれた。
博人と玲奈は手をつなぎながら、幸せな顔をして赤ちゃんを見つめていた。
その夜、博人は玲奈の側に付き添い病室にいた。
『ねえ博人、この赤ちゃんの命はきっと拓実さんが私達にくれたものよね?』
『そうだな、俺思うんだよ。きっとこの子は拓実の生まれ変わりだって・・・』
骨髄移植は守秘義務があり、どんな理由があろうともその適合した人の事を知りえる事は許されていない。だが、博人と玲奈はその相手が拓実であるという事に何の疑いも持っていなかった。もし仮に、真実がそうでないとしても、二人にとっては拓実が託してくれた命に変わりはなかったのだから。
『あっ!博人見て!ここの部屋からはキレイな星空が見えるよ。』
『本当だな、キレイだな。』
『あっ!今の流れ星だよ博人!』
『俺も見たよ玲奈。あれは、きっと・・・』
『そうね、きっと・・・』
『きっと、あれは拓実からのお祝いの流れ星だな・・・』
『拓実さんらしい。』
『拓実のやつ、どこまで格好付ければ気が済むんだよ。』
二人の顔には笑顔と希望、そして感謝の気持ちが溢れていた。
今日も都会の空には無数の星たちが、多くの輝きを放っています。その一つ一つの輝きには幾つもの希望や勇気、そして愛情や友情が満ち溢れていて、当たり前のように流れていく日常社会の中で、優しく僕らの生きる道を照らしてくれています。
皆さんの中にもきっとその光を見た方はいますよね。もし、道に迷った時には空を見上げてください。きっと夜明けの流星たちが、あなたの事を優しく照らしてくれるはずですよ。そして、いつの日にかあなたもその流星たちになれる日がくるはずです・・・
END
この物語はフィクションであり、登場する人物や場所などは全て架空のもので実在しません。
さあ、いかがでしたか『夜明けの流星たち』?4ヶ月に渡りお送りしてきましたが、全く素人の僕が小説を真似て書いたものなので、いたらない点も多々あったとは思いますが、最後まで飽きずに楽しんでいただけたでしょうか?長い間、本当にありがとうございました。
また、時間があれば別の作品の出筆にも取り組んでみたいと思います。
それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)
(今日のマニアック有名人しりとり)
も モーゼス(アメリカの元陸上選手で、専門種目は400mハードル。世界記録を樹立したり、100連勝という偉大な記録も打ち立てた。1984年のロス五輪の選手宣誓を行ったのは彼である。)
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