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2007年11月10日 (土)

夜明けの流星たち(第15話)

こんにちにゃ~ 北の猫男爵です。

今朝は冷えましたね~今年一番の冷え込みだったようです。暖房が恋しい季節になってきました・・・

さてそんな寒さが身に凍みる今日は、ビール片手に“つまみ”とそして“小説”なんぞいかがですか?そうです皆さんご存知の“ヨアリュウ”です。

それでは今日は連続ブログ小説第15話をお送りしたいと思います。

ついに玲奈の前に野崎龍太が現れた。玲奈の心に今もなお、深く残る心の傷を今、野崎はまた呼び起こそうとしている。そんな事ともしらずに博人は警視庁で松田と話していた。そしてそこにもまた新たな真実が明らかとなる・・・それでは第15話をお楽しみください。

『夜明けの流星たち』  脚本・演出:猫男爵

☆Story15☆ 『守るべき愛』

玲奈は身動きひとつできず、その場に立ち尽くしていた。

野崎は一歩ずつ玲奈のもとに歩み寄ってきた。

『俺はずっと、玲奈に謝りたかったんだ・・・3年前のあの日、玲奈が俺の前から消えたあの日から・・・』野崎はかすれた声で話しながら歩み寄ってきた。

『こないで・・・お願いだから、こないで・・・』玲奈は震えながら小声で叫んだ。

『どうしてそんな事言うんだよ玲奈?また。前みたいに一緒にいよう。』野崎は優しく微笑みながら言った。

『やめて・・・やめてぇ!』玲奈はこらえ切れなくなり大声で叫んだ。

ちょうどその近くを通りかかっていたのは彩香だった。

『何、今の悲鳴?あれ、玲奈ちゃんじゃない?大変!』

その異変に気づいた彩香は玲奈のもとへ走り出した。

『大丈夫、玲奈ちゃん!』

玲奈は震えながら今にも泣き出しそうだった。

『彩香さん・・・助けて・・・』玲奈は振り絞るような小声でそう呟いた。

『あんた!玲奈ちゃんに何したのよ!誰よあんた!』彩香は玲奈の前に立ちすくむ野崎にそう言った。

『俺はただ・・・』

『誰か警察呼んで!警察!』彩香は大声で叫んだ。

『また会いにくるよ玲奈。』野崎はそれだけ言い残して小走りに去っていった。

『大丈夫だからね玲奈ちゃん!』彩香は玲奈を包み込むように守りながら抱きしめていた。

しかし、玲奈は雨に濡れた子犬のように小刻みに震えることを押さえきれなかった。

警視庁では松田博人に過去を話し出していた。

さんが殺されたって、どういうことですか?』博人が松田に尋ねた。

松田は吸っていた煙草を灰皿に押し付け、消しながら口を開いた。

『あれは今から8年前、俺の妹が大学の卒業を間近にした1月の寒い夜の事だった。妹は昔から憧れていた広告会社への就職も決まって、そのお祝いに友達みんなで食事をして、その帰り道を家路に向かっていた。その時、ちょっと薄暗い小道に入ったところで、あいつに、野崎に強姦されたんだ・・・』松田は思わず拳を強く握りしめた。

『俺はちょうどその日は非番で、家で妹の帰りを待っていた。妹が服を引きちぎられボロボロになって家に帰ってきた時、俺は自分の目を疑った。何で俺の妹がこんな事に・・・ってな。その後、事件の事を思い出したくない妹は頑なに被害届を出すのを拒んだ。でも、被害届が出ない限り犯人を捕まえることすらできない。俺は嫌がる妹に無理矢理、被害届を出させた。そして、犯人を突き止め、あの野崎を逮捕した。でも、事件はそれで終わりではなかったんだ・・・』

博人は松田の真剣な顔を見ながらその話に聞き入っていた。

『俺は犯人を捕まえる事に夢中で肝心な事に気づいてなかった。一番大切な妹の心の痛みに・・・結局、裁判になれば嫌でも妹はあの男の前に出ていかなければならない。嫌でも思い出したくもない光景を思い出す事になる・・・そんな事に俺は気づいてやれなかった。そして妹は、裁判の2日前にビルから飛び降りて自殺したよ・・・俺が殺したも同然だ・・・俺は妹の心の叫びに気づいてやれなかった事を泣きながら悔やんだよ。いくら泣いたって妹は帰ってこないのにな。そして、俺は妹の人生を滅茶苦茶にしたあいつを一生許さないと心に誓ったんだ。』

少しの間をおいて博人が松田に尋ねた。『それで、野崎はどうなったんですか?』

松田は少し目を潤ませながら再び話し始めた。『結局あいつは、刑務所へ行ったが刑務所内での態度が良かった事が認められ、刑期も短縮され、たった2年で出てきたよ。それから、あいつの事はことあるごとに注意して見ているわけさ。案の定、あいつはその後もまた傷害で刑務所に行ったがな。その時の交際相手が、昨日お邪魔した鈴木玲奈さんというわけさ。だから俺は、もう妹と同じような被害者はどんな事があっても出してはいけないって思っているんだ。だから、あいつをのうのうとこの世界にのさばらしておくわけにはいかないんだ。』松田はもう一度拳を強く握りながら話した。

『そんな事があったんですね・・・』博人もその話を聞いてぽつりと呟いた。

そこへ松田の部下の和田が駆け寄ってきた。

『主任!野崎が現れました!現場はすぐ近くです!』

『何!わかった今すぐ行く!』松田の目は尖った鋭い目に変わった。

『じゃ、急ぐのでまた。』そう言うと松田は走っていった。

すると、博人の携帯が鳴った。

『もしもし、彩香か、どうした?えっ!何だって!』博人は興奮しながら彩香の話を聞くと、一目散で松田の後を追った。

『松田さん!』

拓実はちょうどその頃、涼子のアパートを訪れていた。

『ゴメンね涼子ちゃん、家まで来ちゃってさ。純平のやつがさ、今日はどうしても抜けれない用事があるから、代わりに俺に涼子ちゃんの側にいてやってくれって言うからさ。』拓実は少し緊張しながら涼子に話した。

『もう、別に大丈夫なのに。純平ったら、桜木君にまで迷惑かけちゃって、どうしようもない弟ね。』涼子は笑いながらそう言った。

実は涼子は事故の後しばらく毎月17日、つまり震災のあった17日になると急に恐怖心にかられ、誰かが側にいないとならないほどの精神状態に陥ったのである。そして今日はその17日。最近は、17日になっても最近はその恐怖心に脅える事は無くなってはいたのだが、それでも純平は気を遣い拓実を涼子のもとに呼んだのであった。

『もう以前に比べたらだいぶ恐怖心とかも無くなったの。それよりも、昔の事を思い出したいっていうか、昔の自分を知りたいなあって最近少しずつ思うようになってきてね。前はそんな事、全然思わなかったのに・・・不思議ね。』涼子はそう笑顔で拓実に話しかけた。

『きっと、良い思い出がたくさんあったのかもしれないよ、涼子ちゃんの過去には・・・』拓実は迷いと戦っていた。自分で真実を打ち明けるのが今なのか、それとも涼子本人の記憶が蘇る事を待つべきなのか。

『そうだといいんだけどね。』涼子は少しうつむきながら返事をした。

『ねえ涼子ちゃん、何か焦げ臭くない?』拓実が涼子に尋ねた。

『あっ!ガス付けっ放しだ!あ~あ、またドジしちゃった。』

涼子と一緒にキッチンへ走っていった拓実は涼子のその愛くるしい顔を見ていると、いたたまれない気持ちでいっぱいだった。

玲奈と彩香は野崎が立ち去った後、その場に二人で警察が来るのを待っていた。そこへ松田の乗ったパトカーが到着した。そしてそこには博人も一緒に同乗していた。

『大丈夫か玲奈!』博人が玲奈のもとに駆け寄ってきた。

『博人!私、私、怖い・・・』玲奈は恐怖に脅えていた。

『大丈夫だ!俺がついているから、もう大丈夫だ。』博人は震える玲奈をしっかりと抱き寄せた。

それを間近で見ている彩香は、もう博人の心は自分から遠く離れたところに行ってしまった事を痛感していた。

『博人、何で警察にいたの?』彩香が尋ねた。

『うん・・・それは後で話すよ。それより今は玲奈のそばにいてあげなきゃ。』博人はそう呟いた。

『川嶋さん、とりあえずここではあれですから、鈴木さんが落ち着くまで署で休んで行ってください。野崎の事も少しお聞きしたいですから。そちらの女性の方もご一緒に宜しいですか?』松田はそう言うと、博人と玲奈、そして彩香も連れて警察に連れていく事にした。

繁華街の地下にある薄暗いバーのカウンターで野崎は酒を飲んでいた。

『ちくしょー!俺は何のために出てきたと思ってるんだ。あいつのために、玲奈のために・・・』野崎の目はさらに鋭さを増していた。

警視庁では、玲奈も落ち着きを取り戻し、真知子に電話をする博人の姿があった。

『それで、玲奈は?大丈夫なんですね!』電話口で少し取り乱す真知子がいた。

『大丈夫です。今はもうだいぶ落ち着きましたから、これから僕が家までタクシーで送り届けますから、待っててください。大丈夫ですから。』博人がそう真知子をなだめさせ電話を切った。

『お母さん大丈夫そう?』彩香が聞いた。

『だいぶ興奮していたけど、送っていくって言ったから大丈夫だと思う。』博人はそう返答した。

『博人、ありがとう。博人の顔見たら安心した。もう大丈夫だから。』玲奈は落ち着いた声で博人に話した。

『そっか、良かった。でも今日は俺がちゃんと家まで送るから、安心しな玲奈。』博人は笑顔で返した。

『川嶋さん、ちょっといいかな?』

『はい・・・』

松田に呼ばれて博人は別室に行った。

『川嶋さん、あいつはまた必ず彼女に会いにきます。私達もマークはしますが、もし何か会ったらすぐに連絡ください。次に接触する時は、必ずあいつはボロを出しますよ。』

『玲奈におとりになれっていう事ですか?』博人は少し興奮気味に言った。

『違います。誰もそんな事は言ってません。あいつが頼れるのは彼女しかいないんです。だから、あいつは彼女に必ず助けを求めてくるっていう事です。別に彼女を傷付けたりする事はないはずです。私達だって、彼女に会っただけでは野崎を逮捕する事などできません。問題はその後のあいつの行動なんです。それを私達も狙っているんです。』松田は冷静な口調で答えた。

『わかりました。とにかく俺はあいつから玲奈を守って見せます!玲奈には指一本触れさせません。失礼します。』博人は強張った厳しい表情で松田に背を向けた。

その頃、聖北総合病院では二階堂が昨日の玲奈の検査結果を見ながら、眉間にしわを寄せていた。

『ダメだ・・・急がないと・・・』そう呟くとすぐに受話器を取った。

『二階堂だ、すぐに婦長と内科の三島君を呼んでくれ!大至急だ!』

二階堂の目は真剣な険しいまなざしだった。

玲奈の前に現れた野崎の存在が今、二人の脅威になったということは紛れもない事実であり、そして博人はその野崎と松田の間に秘められた過去を知ってしまった。今、博人と玲奈の運命は大切な分岐点にきていた。そして、玲奈の病魔ももう間もなくその脅威を見せつけようとした・・・   To be continue

いかがでしたか第15話は?玲奈を必死に守ろうとする博人の愛情が伝わってきますよね。しかし、そんな愛情でも守れない病魔という大きな存在が今、現実に玲奈の体に襲い掛かってくることになるとは二人ともまだ気づいてはいませんでした。次回第16話も乞うご期待!

それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)

(今日のマニアック有名人しりとり)

う 浦壁多恵(うらかべたえ。ミュージュカルや舞台で活躍する女優であり歌手でもある。以前、富士フィルムのCM『写るんです』にも出ていたこともある。ニックネームは「かべちゃん」。)

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