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2007年10月10日 (水)

夜明けの流星たち(第10話)

こんばんにゃ~ 北の猫男爵です。

10月もまもなく半ばに差し掛かり、日に日に寒さが増してきましたね。皆さん風邪などひいてないですか?風邪気味の方は、なるべく暖かい格好をして、栄養を十分とって、そしてこのブログを見て、ゆっくり体を休めてくださいね。

今日は連続ブログ小説第10話をお送りしたいと思います。

「海」に出かけた博人たちは楽しい時を過ごしていた。そしてそこで今にも恋のつぼみが花を咲かそうとしていた。しかし、そんな楽しい時間が長くは続かないことに、この時の博人は気づくはずもなかった。

『夜明けの流星たち』  脚本・演出:猫男爵

☆Story10☆ 『星空の下で』

花火も終わり、みんなはペンションの中に入り談笑していた。

『俺、そろそろ寝るよ。真希も酔っ払ったみたいだから。』そう言うと、純平はほろ酔いの真希を抱え2階の部屋へと上がっていった。

『あれ、涼子ちゃんは?』拓実が言った。

『外の風にあたって来るって、さっき外に行ったよ。』彩香が拓実に教えた。

『ちょっと見てくるわ。』拓実はそう言いながら外へ出て行った。

涼子は玄関の階段に腰を掛けながらたたずんでいた。

『大丈夫、涼子ちゃん?』

『うん、大丈夫よ。』

拓実は涼子の横に腰を掛けた。

『ねえ、桜木君はどうしてそんなに私に優しくしてくれるの?』

涼子のその問いに拓実は戸惑いを隠せなかった。

『いや・・・それは・・・』拓実は言葉に詰まった。

『最近ね、震災の前の記憶がわずかだけど思い出せそうな感じがするの・・・所々だけど、人の顔とかがぼんやりと見えそうなの・・・でも、凄く怖くて不安で・・・』

そんな涼子を拓実は今すぐにでも抱きしめてあげたかった。

『涼子ちゃん、実は俺ね、俺はね・・・』拓実は意を決して全てを打ち明けようとした。

『大丈夫、涼子ちゃん?』その時、彩香が二人の元にやってきた。

『うん、大丈夫よ。ありがとう彩香さん。それで、実は何?何か言いかけていたよね桜木君。』涼子が尋ねた。

『いや、何でもないよ・・・』拓実は言い出すタイミングを失った。

『私、眠たくなってきたから先に寝るね。オヤスミ。』そう言うと涼子は去っていった。

『拓実、今涼子ちゃんに何か話してたよね?まさか・・・』

『うん・・・涼子は自分で記憶が蘇ることを感じ始めているみたいなんだ。だから、話してもいいかなって思ったけど、まだ話せなかった・・・』

『そっか、でもいずれは話さないとね、頑張ってね拓実。』

『サンキュ。』

そんな会話のやり取りが拓実と彩香の間で取り交わされた。

『あれ?そういえば博人は何してる?』拓実が彩香に聞いた。

『中で玲奈ちゃんと話してるよ。幸せそうな顔しちゃってさ・・・それを見てると、ちょっとそこにいるのが辛くなってさ・・・それで出てきたの。』

『辛くなってってどういう事だよ?彩香、お前まさか・・・博人の事・・・』拓実は驚いた表情を見せた。

『そう、私は博人の事が好き。三人で遊んでいた小さい頃からずっと好き・・・』彩香はすっきりとした表情で話し始めた。

『一緒にいたのに全然気づかないんだもん二人とも。』

『だって、わかんねえよそんなのさ。』

『わからない様に仮面被ってたもん。でもね、もうその仮面にも限界がきたみたいで、この想いを抑え切れる自信が自分に無くなってきたの・・・でもね、博人には玲奈ちゃんという大切な人がいるから、私がそんな事言ったら博人を困らせるだけ。だから、この想いは永遠に封印する事にしたの・・・』

『でも、それは辛すぎるだろ。だって、ずっとなんだろう?』拓実は彩香にもう一度聞き直した。

『そうよ、だからこそ心の中に閉まっておくの。だめよ拓実!絶対に誰にも言わないでよ!もちろん博人にも!』

『でもよ・・・』

『でもじゃない!約束して!これだけは誰にも言わないで。』

『わかったよ・・・』拓実は彩香の想いを守るために自分の中にだけこの事実を閉まっておく事にした。

ペンションの中では博人と玲奈が楽しそうに話していた。

『そうだ玲奈ちゃん、散歩しに行こう!海で見る星空ってね凄いキレイなんだよ。』

『行きたい!見たい見たい!』

博人と玲奈は星を見に外へと出て行った。

『凄くキレイ!星がいっぱい!博人さん覚えてる?あの遊園地で見た星空。あの星空もキレイだったけど、今日の星空は比べものにならないくらいキレイですね。』

『そうだろ、この星空をどうしても玲奈ちゃんに見せたくってさ。あのさ、これからもこうやってみんなと遊んでくれる?』

『私で良ければ、もちろん。』玲奈は嬉しそうに答えた。

『今度、俺の家にも遊びにおいでよ。』

『えっ?博人さんの家に?』

『そうだよ、だめ?』

『だって、そういうのは彼女とかそういう人しか入れちゃだめですよ。』

『そうだね、俺もそう思う。だから、玲奈ちゃん家においでよ。』

『だから、そういうのは彼女し・・・えっ?どういう事・・・』

『玲奈ちゃんに来てほしいんだ。俺の彼女になって来てほしいんだ。』博人は遂に想いを告白した。

玲奈は驚いていた。と、同時に嬉しさが満ち溢れていた。

『こんな私でいいんですか?』

『もちろん!』

『ありがとう博人さん。今度、博人さんの家に行きます。宜しくお願いします!』玲奈は満面の笑みを浮かべて答えた。

『あっ!玲奈ちゃん、流れ星だ!願い事しなきゃ!』

そう言って目をつぶる博人の顔を嬉しそうに玲奈は見つめていた。

『あれ?玲奈ちゃん、ちゃんと願い事した?』

『いや・・・早過ぎて・・・』

『大丈夫!まだ間に合うから目をつぶってお願いしてみな!』

そう博人に言われると玲奈は目を閉じてお願いした。すると、玲奈の柔らかな唇に博人の唇が触れた。

玲奈は思わず目を開けてしまった。

数秒間、時間が止まって見えた。博人の優しい唇は玲奈から離れた。

『博人さん・・・』

『だって今、玲奈ちゃんは流れ星にお願いしただろう?それが叶っただけだよ。』博人は照れくさそうにそう言った。

その夜、二人は肩を寄せ合い、いつまでも星空を見ていた。

翌朝、帰りの支度を整え帰路へと向かう車内では、飲み過ぎで眠りに就く純平や真希の姿があったが、玲奈はいきいきとしていた。

『何かいきいきしているね玲奈ちゃん!』涼子が聞いた。

『はい、とても楽しかったですから!』玲奈は笑顔で答えた。

『あのさ・・・実はみんなに報告したいことがあるんだけど、俺と玲奈は付き合う事になったので一応報告しておきます。』運転しながら博人は口を開いた。

『おめでとう玲奈ちゃん!良かったね!でも、みんなもう知ってるよ。』涼子は笑いながら言った。

『ねえ~!』そしてみんなの顔を見た。

『良かったね玲奈!』『良かったね玲奈ちゃん!』寝ていたはずの純平と真希も笑顔で祝福した。

『やったな博人!玲奈ちゃんをちゃんと幸せにしてやれよ。』拓実も祝福した。

『良かったね博人。』彩香もまた祝福した。

ただ、彩香の顔を見ている拓実は複雑な思いだった。

車は笑いと幸せに満ち溢れ帰路へと進んでいた。

ちょうどその頃、栃木県宇都宮刑務所では、冷えきった独房内に監視官が歩く靴の音が響いていた。

『野崎、出所だ!』

独房の鍵が開き、無言で出てくる一人の男がいた。髪も髭も伸びきったその鋭い眼光は何かを狙う野獣の眼光だった。

やがて刑務所の門が開かれた。

『もう二度と戻ってくるなよ。』

その刑務官の呼びかけにも、声ひとつあげずその男は歩き始めた。

その男の名前は『野崎龍太』、そう、玲奈と以前交際していた凶暴な男だ。

野崎は鋭い目を輝かせ、少し笑みを浮かべ歩き始めた・・・

その目は、これから始める悲劇への序曲なのか・・・博人や玲奈の前に何が起きようとしているのか、その時は誰も知る余地もなかった。ただ言えることは、運命はすでに動き出しているという事、そしてそれを止める事は誰にもできないという事だけであった・・・     To be continue

いかがでしたか第10話は。遂にお互いの思いが届いた博人と玲奈。すべては幸せの方向に進んでいくと誰しもが疑わなかった。しかし、その裏で現実は確実に悲劇へと向かい歩き始めているのであった・・・次回第11話をお楽しみに!

それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)

(今日のマニアック有名人しりとり)

ろ ロン・デニス(マクラーレングループの会長で、イギリスのF1コンストラクターであるマクラーレン・レーシングのチーム代表でもある。完璧主義者でもあり潔癖症としても有名である。本社の床にか塵ひとつなく、『うちの会社は病院の手術室よりも清潔だ。』と豪語するほどである。)

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