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2007年10月24日 (水)

夜明けの流星たち(第12話)

こんばんにゃ~ 北の猫男爵です。

さて、今日は連続ブログ小説第12話をお送りしたいと思います。

今まで、全話見ていただいてくれてる方は果たしているのか・・・若干不安になってきた猫男爵ですが、あともう少し、話の完結までは頑張って続けていきたいと思います。『夜明けの流星たち』、略して『ヨアリュウ』『昨日のヨアリュウ見た?』などという会話が、学校や職場で聞こえてくる事を夢見て頑張ります(笑)

とうとう、自分が白血病であるという事実を知ってしまった玲奈、そしてそれをまだ知らない博人、今二人の心には「人生の岐路」が訪れていた。そして、この二人に訪れる「未来」とは果たしてどんなものなのか・・・それでは続きをどうぞ!

『夜明けの流星たち』  脚本・演出:猫男爵

☆Story12☆ 『私を抱きしめて』

拓実は泣き崩れる玲奈の背中を見ながら病院を出て途方に暮れていた。

『何で玲奈ちゃんが・・・あんなに幸せそうな顔していたのに・・・』

拓実は気がつくと涼子が働く花屋に来ていた。

『桜木君!この間の海楽しかったね。』

『あ、う、うん。』

『あれ?今日は元気がないのね、どうかした?会社でミスでもした?あっ、わかった!それで、このお花屋さんの明るいお姉さんに元気づけてもらおうと思って来たんだ!違う?当たりでしょ。』

涼子のその天真爛漫な笑顔に拓実は少しだけ元気をもらった。

『違うよ、花屋に来たんだもん、花を見に来たんだよ!』少し笑いながら拓実は言い返し、玲奈の事を振り払うかのように涼子と話した。

『どんなお花をお探しですかお客さん?』涼子が笑いながら聞いた。

『そうだな・・・じゃ、お姉さんの好きなお花でお任せします。』拓実は少し考えて笑いながらそう答えた。

『それじゃあね、この赤い薔薇なんてどう?キレイだよ。』

『赤い薔薇?』拓実の脳裏に以前の涼子の面影が蘇った・・・拓実が涼子と付き合っていた頃、涼子の家にはいつも涼子が大好きな赤い薔薇が飾られていた。

『もしかして、記憶が・・・』拓実は思わず呟いた。

『記憶?』涼子も拓実の方を見ながら小声で呟いた。

『純平が前に言ってた色覚治療で赤色に反応があったっていう話しは、もしかして赤い薔薇の事なのか・・・』そう頭の中で拓実は考えていた。

次の瞬間、涼子がふらふらとしゃがみこんだ。

『涼子ちゃん?どうかした?大丈夫?』

『うん、大丈夫・・・ちょっとめまいがしただけ、大丈夫よ。』

『少し休みなよ。』

『うん、ありがとう。』

しゃがみこむ涼子を見ながら拓実は涼子の記憶が確実に戻りつつある事を確信した。

やがて夜になり、玲奈は家に戻っていた。家の中ではうつむいたままの真知子がいた。

『お母さん・・・じゃ、出かけてくるね。』そこには明るく真知子に声をかける玲奈がいた。

『出掛けるって・・・玲奈!』

『昼間話したでしょ、今日は博人に会うんだって。』

『でも、玲奈あなた・・・』

『大丈夫だから心配しないで、博人には絶対言わないから。それに私はまだこんなに元気なのよ、せめて元気でいるうちは少しでも博人と会っていたいの。ねえ、だからいいでしょお母さん?』

『うん、わかったわ。気をつけて行ってらっしゃい。』涙をこらえながら真知子は玲奈を見送った。

玲奈もまた溢れる涙を拭いながら博人のもとへ走って行った。

その頃、博人はNSEとの商談を終えて会社を出るところだった。

『先輩、うまくいきましたね!NSEも喜んでましたしね。』

『そうだな。』そう言いながら博人は盛んに時計を気にしていた。

『先輩、飲みにでも行きますか!』

『悪いな、今日はお前にも助けられたし、本当は一緒に祝杯でもあげたい気分だけど、ちょっと彼女と約束があるんだ。』

『えっ?彼女?先輩聞いてないですよ。ずるいな、いつできたんですか彼女?』

『ずるいとかそういう問題じゃないだろ。悪いな稔、また今度な。』

『はい、いいですよ。気にしないで下さい。またいつでも飲みに行けますから!』

『いつでもか・・・』

『何か言いましたか先輩?』

『いや、何でもない。じゃあな!』博人は急いで玲奈のもとへ向かった。

警視庁捜査一課強行犯係では、ある事件の捜査会議が終わって一服しているところだった。煙草の煙と汗の匂いが充満している部屋の中にいたのは、強行犯係主任の松田譲二だった。

『主任!さっきショカツから流れてきた情報なんですが、例の野崎が3日前に宇都宮刑務所から出所したそうです。』

『あいつが・・・それは本当なんだな?』

『はい、間違いありません。』

『よし、和田!すぐにショカツに野崎をマークさせろ!あいつをこの世界にのうのうと生きさせてたまるか・・・』その松田の目もまた、野崎とは違う別の鋭い眼光であった。

その頃、都心の薄暗いガード下では若者数人がたむろしていた。そこへ一人の男が歩いて来た。一人の若者の肩とその男の肩がぶつかった。

『おい!何ぶつかってんだよ!痛えじゃないか!』若者がからんでいった。

次の瞬間、若者は地面に倒れ込んでいた。気がつくとそこにいた若者5人はあっという間に、たった一人のその男に殴り倒されていた。

『何だ、歯ごたえの無い奴らだな・・・お金はいくらかな?』そう言うと男は、一人の若者の胸ぐらをつかんで言った。

『お金だよ、お金。ファイトマネーだよ。お前ら負けたんだからお金出しなよ。』その冷静で冷えきった口調は、まるで魂の無い人間の様だった。

『これで全部です。』そう言うと若者達はありったけのお金を渡して逃げて行った。

『ちぇっ、たったの5万かよ。』男はそれをポケットに押し込めて歩いて行った。

そう、その男は3日前に宇都宮刑務所から出所した野崎龍太であった。

博人は玲奈との食事を終えて、玲奈を家まで送り届けるところだった。

『今日どことなく元気なかったな玲奈。何かあったのか?』

『そんな事ないよ・・・初めて行くお店だから緊張していたのかも。』そう笑って玲奈はごまかした。

『ねえ博人、今度さ映画見に行こう、あと水族館もいいな。あとはねもう一回遊園地も行きたい!あとドライブもいいな、あとはね・・・』

『ちょっ、ちょっと待てよ玲奈、そんなに一辺には行けないよ。いいじゃん、これから沢山いろんな所に行けるんだ、そんなに慌てなくても。』

『慌てたいの!』思わず玲奈は大声を出してしまった。

『どうしたんだよ急に、そんなに怒らなくても。』

『ごめんなさい・・・違うの・・・何か博人といつも側にいたくて、つい・・・』

『大丈夫だよ、俺はいつも側にいるから安心しろよ。』

玲奈は博人の優しい言葉が胸に響いて、おもわず博人の胸の中に飛び込んで泣き出した。

『どうしたんだよ玲奈?やっぱり今日の玲奈は変だぞ・・・』

『しばらく、こうしていて・・・抱きしめていて、お願い・・・』

『わかった。』博人は何も聞かず、ただ玲奈を強く抱きしめていた。この時間がそう長くは続かない事も知らずに。

そして、その背後に一人の黒い服を着た男が電柱の影からその様子を伺っていた。その男の目は鋭く光る眼光だった。そう、野崎龍太だった・・・

今日も光り輝く満天の星空の下で、博人と玲奈はいつまでもいつまでも抱きしめ合っていた。玲奈に襲い掛かった病魔、それをまだ知らない博人、そしてもう一つ見えない所で二人を狙う野崎の鋭い眼光、様々な思惑と心が揺れ動く中、ただ博人と玲奈の心と心だけが固い絆と愛情で繋がっていくのを二人は感じていた・・・   To be continue

次回第13話を乞うご期待!

それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)

(今日のマニアック有名人しりとり)

る るりあ046(るりあぜろよんろく。漫画家でもありイラストレイターでもある。代表作は『結合装甲カローン』。)

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