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2007年10月29日 (月)

夜明けの流星たち(第13話)

こんばんにゃ~ 北の猫男爵です。

10月もいよいよ終わりに近づいてきましたね。また、あっという間に1ヶ月が過ぎようとしています・・・本当に月日が経つのは早いものです。

さあ、そんな秋深き夜長には「ヨアリュウ」で心を落ち着かせてみてはいかがでしょう。今日は連続ブログ小説第13話をお送りしたいと思います。

自分の病気の事を知った玲奈は一人、心の中でもがき苦しんでいた。博人にその事を告げる事は玲奈にはまだできないでいた。そして思わず溢れる涙を抑えきれず、博人の胸の中で泣き崩れる玲奈。博人はそんな玲奈を優しく包んでいた。しかし、その背後には危険な魔の手が伸びようとしていたのであった・・・

『夜明けの流星たち』  脚本・演出:猫男爵

☆Story13☆ 『蘇る過去』

博人玲奈を強く抱きしめていた手をそっと離した。

『大丈夫だよ玲奈、俺がいつも付いているから。』

その博人の言葉に玲奈は軽くうなずいた。

『さあ、お母さんが心配するといけないから家に入ろう。』そう博人が言った。

『あれ?』玲奈が呟いた。

『どうした玲奈?』

『何かさっき、そこの電柱の影に人が立っていた様な気がしたの・・・』

『そこに?誰もいないぞ。』

『おかしいな・・・気のせいかな・・・』玲奈は少し気になる様な顔をしながら家に入った。

『ただいま、お母さん。』

『お帰りなさい。あら、川嶋さんわざわざ送ってくださったの、ありがとうございます。』真知子は笑顔で博人に玄関先で御礼を言った。

『夜道は危ないですから。』博人はそう返事をした。

『優しいのね川嶋さんは。どうぞ、あがって少し休んで行って。』真知子は博人にそう言った。

『いえ、こんな夜分にご迷惑ですし。』

『いいの、いいの、気にしないで、さあどうぞ!』

『そうよ、気にしなくていいよ博人。少し休んで行って。』玲奈も博人にそう言った。

『そうですか。じゃ、お言葉に甘えて。』そう言いながら博人が家にあがろうとした時にチャイムが鳴った。

『ピーンポーン♪』

『あら、こんな遅くに誰かしら?』

インターホーン越しに真知子が聞いた。『どちら様ですか?』

『夜分にすいません。私、警視庁捜査一課の松田と申します。少しお聞きしたい事がありまして。』

『警察?』真知子は博人と玲奈の顔を見て不思議そうな顔をした。そして、ひと呼吸おいて言った。

『はい、今開けます。』

『夜分にすいません、松田と申します。実は、お宅のお嬢さんに確認したい事がありまして。』

『うちの玲奈にですか?』

『はい。』

『ここにいるのが娘の玲奈ですが・・・』

『あなたが玲奈さんですか。実は・・・この写真の男に見覚えはありませんか?』そう言うと、松田は玲奈に一枚の写真を差し出した。

『嫌っ!』玲奈はその写真を見るなり、投げ捨てるかの様に放り出し、しゃがんで小刻みに震えだした。

『玲奈、どうした!』博人が心配した。

そして、落ちた写真を見た真知子が呟いた。『この男は・・・』

『ご存知ですね。』松田が真知子に聞いた。

『はい・・・でも、もう玲奈はこの男とは一切関係ないですから!』真知子が強い口調で言った。

『それならいいんですが・・・気をつけて下さい。この男がつい先日、刑務所から出所してきたんです。お嬢さんに近づいて来る可能性もあります。もし、見つけたらすぐ私の所に連絡下さい。お願いします!今日はそれを伝えたくて来ただけですから。』

『わかりました。』

『それでは、失礼します。』そう言うと松田は立ち去っていった。

玲奈は震えながら博人の足下にしがみついていた。

『玲奈、どうした?大丈夫か?お母さんこれはどういう事ですか・・・』博人は真知子に尋ねた。

『こんな所では何ですから、中に入ってください。』

そう言うと真知子は玲奈の手を掴みながら立ち上がらせ、中へと連れて行った。

拓実は、昔よく涼子と星空を見に来ていた公園のベンチに腰を掛けて空を見上げていた。

『涼子は俺を受け入れてくれるかな・・・もし、俺が話す事で余計に苦しめたりしないかな・・・今の生活のままが涼子には幸せなんじゃないかな・・・』拓実は一人で考え込んでいた。

玲奈の家では真知子が話し始めようとしていた。

『玲奈、川嶋さんには話しておかなければならないわ・・・いいわね?』

『でも、お母さん・・・』

『思い出すのが辛いのはお母さんだってわかっているわよ、でも川嶋さんならきっと玲奈を守ってくれる。だから、話すべきだと思うの。』

『わかったよお母さん、博人に話して・・・』玲奈は目をつぶり、辛さを耐える様に真知子にお願いした。

『お母さん、あの男は誰なんですか?』博人は真知子に尋ねた。

『川嶋さん、今から話す事は玲奈にとって辛く苦しい過去なんです。でも、あなたには知ってほしいんです。何があっても玲奈の事を守って下さいね。』真知子が切実に訴えかけた。

『勿論です!約束します!』博人は力強く答えた。

『あれは玲奈が短大生の頃、玲奈はファーストフードでアルバイトをしていたの。そこで一緒に働いていた一人の男と知り合ってね、やがて仲良くなり付き合うようになったの。私も、玲奈が選んだ人だし玲奈はとても毎日が楽しそうだったから、特に何も口を出さず安心していたの。何回か家にも遊びにも来ていたし、とても玲奈の事を大切にしてくれているって、その時は私も玲奈もそう思っていたの。』

玲奈は苦しそうな顔を見せながらも必死に耐えて、真知子の話を黙って聞いていた。

真知子は話を続けた。『ところが、付き合い出して2年ぐらい経った頃、玲奈も今の会社に就職して、その男も運送会社で働くようになり、お互い会う時間も減ってきて、家にもあまり遊びに来なくなったの。ちょうどその頃のある日、玲奈はその男の家に行った時にお金を貸してくれって言われたらしくて、玲奈もその男の事を信用していたから、ついお金を貸してしまったのね。そういう事が何回か続き、玲奈も貸すお金が無くなって遂に断ったの。そうしたらその男は玲奈に暴力を振るったの・・・服がボロボロになるまで玲奈を殴ったの・・・玲奈は傷だらけになって家に帰ってきたわ。酷く脅えて震えながら・・・勿論、その男とはそれっきり会う事も無かったわ。後でわかった事なんだけど、その男はサラ金に借金を作っていたみたいで、それを返済するために玲奈からお金を騙し取っていたのよ。しかも、玲奈の他にも交際している女性が数人いたみたいで・・・私がしっかり玲奈を守ってやれば良かったって本当に後悔しているのよ。』

『お母さんのせいじゃないよ、あれは私が悪いのよ・・・』黙っていた玲奈が口を開いた。

『違うのよ玲奈・・・川嶋さんも知っての通り、この家には男家族がいないでしょう。玲奈の父親が早くに死んでしまったから、私が父親代わりも勤めてきたの。でも、玲奈を守ってあげられなかった。それが本当に情けなくてね・・・』真知子は涙をこらえながら話した。

『お母さん・・・』玲奈も涙をこらえながら呟いた。

『お母さん、あまり自分を責めないで下さい・・・』博人にも真知子の気持ちが痛いほど伝わってきた。

『その後もその男はしつこく玲奈に付きまとって来て、私も玲奈も我慢と恐怖の限界になり警察に相談に行こうとしたその矢先に、あの男は突然姿を現さなくなったの。その数日後、ニュースであの男が傷害事件で逮捕されたっていうのを見て、私と玲奈は凄くほっとしたわ。そう、あの男、野崎龍太・・・本当は思い出したくもない名前だわ・・・』

『野崎龍太・・・』博人が小声で呟いた。

『川嶋さん、あの男から玲奈を守ってあげて下さい!お願いします。』

『わかりました。何があっても俺は必ず玲奈を守ります!』博人は真知子の目をしっかりと見つめて約束した。

『博人・・・私、怖いの・・・あれからずっと男の人が怖くて心を開けなかったの。でも博人に出会って、やっと男の人を信じられるようになったの。お願いだから私を見捨てないでね・・・』玲奈は泣きながら博人に叫んだ。

『玲奈、大丈夫だよ!俺がいつも玲奈の側にいて守ってあげるから。見捨てたりなんかしないから安心しろよ。』博人は泣き崩れる玲奈の手をしっかりと握りしめていた。

玲奈の中に蘇った悪夢のような過去を博人は切実に受け止めていた。そして、玲奈に対する強い思いが猛烈に胸の中を走り出していた・・・  To be continue

いかがでしたか第13話は。玲奈の隠されたいた過去がその封印から解かれ、博人と玲奈の愛情はさらに強いもので結ばれていったのでした。が、しかしこれから待ち受けている現実はその想像を遥かに超えるものだという事に、二人は気づくはずもなかったのです。次回、第14話を乞うご期待!

それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)

(今日のマニアック有名人しりとり)

む 村田渚(むらたなぎさ。お笑いコンビ「フォークダンスDE成子坂」で桶田とコンビを組んでいた。1990年代に活躍を見せるが1999年に解散、その後もフリーのピン芸人として活躍していたが、2006年に急死、享年35歳だった。)

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