夜明けの流星たち(第8話)
こんばんにゃ~ 北の猫男爵です。
昨日の登山で筋肉が悲鳴をあげています(笑)今朝起きて階段を降りる時、本気で足に鎖つけられているような感覚でした。明日のミニバレーがとても不安です・・・
今日も空は秋らしい十勝晴れが広がってましたね。気温もさほど高くなく、ときおり吹く秋風がとてもキモチ良かったです。
さて、今日は連続ブログ小説の第8話をお送りしたいと思います。
ついに玲奈に対する恋心がわきあがった博人は、拓実らとともに海に行く計画をたてる。その影で、確実に進行する玲奈の病・・・神様は果たして二人に味方をするのか・・・
『夜明けの流星たち』 脚本・演出:猫男爵
☆Story8☆ 『生きている証』
玲奈が博人に海に行く誘いを受けた翌日、真知子は聖北総合病院の二階堂を訪ねていた。
『先生、その後どうなんでしょうか?玲奈の症状は・・・』真知子は不安そうに尋ねた。
『鈴木さん、正直なところ私にも予測できない部分がありまして・・・ただ言える事は、発症する可能性はゼロではないということです。このまま、ずっと発症しない場合もありますし、極端な話明日にも発症するかもしれないんです。だから今は定期的に検査して様子を見るしか方法がないんです。』
二階堂のその言葉に真知子は思わず息を飲むしかなかった。
その頃、拓実は涼子が働く花屋に着くところだった。
『涼子、一緒に行ってくれるかな・・・』拓実は不安そうな表情だった。
『あれ、桜木君!どうしたの?』拓実を見つけた涼子から話しかけてきた。
『こんにちは涼子ちゃん!今日はちょっと用事があってさ、あの実はさ・・・』拓実が話しかけようとした時に涼子が話しだした。
『今ね、純平が来ているのよ。ほら、純平!桜木君よ。』
『あっ、拓実さん!』
『おう、純平!』
『真希に花でも買ってやろうと思ってさ。』微笑みながら純平は話した。
『もう、純平たらね、その真希ちゃんっていう子にまだ一度も会わせてくれないのよ。桜木君には紹介したくせに、実の姉に紹介しないなんてひどい弟よ。』少しむくれた顔で涼子が言った。
『ちゃんと紹介しなきゃだめだろ純平。そうだ!真希ちゃんも連れてこいよ純平!』
『連れてこいってどこへ?』
『ごめん、ごめん。いきなり言われたってわかんないよな。実は今週末に友達何人かで海の近くのペンションに一泊しに行くんだよ。それで、今日は涼子ちゃんを誘いに来たんだよ。だから、真希ちゃんも誘って連れてお前も来いよ純平。』
『海か・・・いいねそれ拓実さん!絶対俺行くよ!真希も誘ってみるよ。』純平ははしゃいでいた。
『涼子ちゃんはどう?一緒に行かない?たまに海の空気とか吸うと気持ちいいよ。』拓実は勇気を出して聞いてみた。
『そうね、たまには息抜きもいいかもね。じゃ、お言葉に甘えて連れてってもらおうかな。』涼子は笑顔で答えた。
『よし、じゃあみんなで盛り上がろう!』拓実は心から喜んでいた。
博人は会社のデスクにいた。
『はい、はい、ありがとうございました。では、後日改めてこちらの方からお電話させていただきます。失礼致します。』電話を切った博人から安堵の表情が浮かんだ。そして隣りにいる稔に話しかけた。
『やったぞ稔!契約だよ、契約!あのNSEがうちの新機種の導入考えてもいいってさ!』
『まじですか先輩?NSEって言ったら、今業界伸び率トップの最大手じゃないですか!』
『そうだよ、その天下のNSEだよ稔!今まで使っていたところの機械にトラブルが出て、新しいところを模索しているらしいんだ。』
『絶好のチャンスじゃないですか先輩!これで部長見返してやれますね。』
『見返すとかそういう事ではないけど、俺自身の中で何か大きな仕事をやり遂げたいんだ・・・』そう稔に話すと博人は席を立ち、開発室へと走っていった。
その夜、玲奈は真希と一緒に自宅に帰ってきた。
『ただいま。』
『お帰りなさい。あら、真希ちゃんも一緒なの。』
『すいません、お邪魔します。玲奈が寄って行けってうるさいもので。玲奈ったら今日は一日中、博人さんの話しばっかりで、それでもまだ話し足りなくて結局お家にまで来ちゃいました。』真希はそう笑いながら真知子に言った。
『もう真希ったら、私そんなに博人さんの事ばかり言ってないでしょ。』玲奈は照れ笑いしながら言った。
『さあ、あがって真希ちゃん。』
そんな二人を見て真知子も安心していた。
『それでね、おばさん聞いて!玲奈ったら、どんな服着て行こうかな?とか、博人さんってどんな服が好みかな?とか、そんな事ばっかりなのよ。そんな事私に聞かれてもね。だいたい、海に行くんだから服なんて何でもいいのにね。』そう真希が笑いながら話した。
『いいじゃない別に。』玲奈は口を尖らせて言い返した。
それを見ている真知子にもまた笑顔が満ち溢れていた。ひと時だけ病気の事も忘れながら。
『そう言えば、さっき私も純平に週末に海に行こうって誘われたんだ。どこかで会うかもね。』真希は冗談交じりに話した。
その日、鈴木家には夜遅くまで笑い声が絶えなかった。
博人は仕事を終えて、「ロザーナ」にいた。
『博人君、何か良い事でもあった?』美里が話しかけた。
『うん!仕事で大きい契約が取れそうなんだよ。正直、今の現状に俺はもどかしさを感じていたんだ、ついこの前までは。でも、親父と話したりして、結局は自分が逃げていただけなのかなって思ったんだ。だから、何もしないで逃げるのは一番卑怯なやり方だって思ってさ。結果はどうであれ、今自分にできる事を精一杯やらなきゃって思ってさ。それが一番人間らしいし、生きている証かなあって。』博人は今の心境を正直に美里に話した。
『何日か前の博人君と目の輝きが違うね。』
『そうですか?』
『うん、全然違うよ。実はちょっと心配してたんだ私。元気がない博人君を・・・でも今の話を聞いたら安心したよ。』美里は優しく博人に言った。
『ありがとう美里さん。それと、もう一つ俺の勇気の源があってさ。実は今、気になる女の子がいるんだ。向こうがどう思っているかは解らないけどさ、俺はその子の事が好きなんだ。大切な存在なんだよね。』博人は顔をほころばせながら話した。
『良かったね博人君!きっと博人君なら、その子の事を幸せにしてあげられるよ。頑張るんだよ!』
『うん、美里さん、ありがとう!』
こうして、その夜は「ロザーナ」の店の明かりも夜遅くまで消える事がなかった。
そして迎えた土曜日の朝、博人はいつもより早く目が覚めた。アパートの前には前日から借りておいたレンタカーが停めてあった。
『美里さん!行ってきますね。留守中頼みます。』そう大声で店の中にいる美里に言うと博人は家を出発した。
拓実のマンションの前には、涼子と彩香がすでに待っていた。
『あなたが彩香さん?』
『はい。涼子さんですね?』彩香は涼子の事はよく知っているが、記憶がない涼子に対して初対面の振りをしていた。それは拓実にも頼まれていた事だった。
『涼子さんの事はよく拓実から聞いてますよ。お花屋さんにとても可愛い子がいるんだって。お嫁さんにするなら、ああいう感じの子が最高だって。』彩香もまた拓実と涼子がうまくいって欲しい一心で気を遣っていた。
『そんな事を桜木君が?何か恥ずかしいなあ。』涼子の顔は少し赤くなって照れくさそうだった。
そこへ拓実が家から出てきた。『ごめん、ごめん!待った?』
『もう、遅いよ拓実!何分待たせるのよ。』彩香が言った。
『そんな事言ったって、博人が来ないと話しにならないだろう。車が来ないと出発できないんだから。』
『それもそうね。』
『あっ、涼子ちゃんおはよう!ごめんね待たせちゃって、このヒステリック姉ちゃんが何か変な事言ってなかった?』拓実は彩香の事を指さして涼子に聞いた。
『ちょっと、随分じゃない!私に対しての態度と全然違うじゃない涼子ちゃんに対しては。』彩香がむっとした表情で言った。
『変な事って、桜木君が私の事をお嫁さんにしたいっていう話?』涼子は微笑しながら言った。
『えっ!?彩香!おまえ涼子ちゃんに何話したんだよ!』
『あれ、拓実、顔が赤くなってるよ。』
『何言ってんだよ!違うよ。』
『あっ、本当だ。』
「ちょっと、涼子ちゃんまで。』
そんな風に楽しそうに三人で話している所に博人が車で到着した。
『おはよう!さあ、みんな荷物積んで!』到着した博人が言った。
『博人、紹介するよ。こちらは涼子ちゃん、お花屋で働いている俺の友達なんだ。』拓実が博人に涼子を紹介した。
『はじめまして、橘涼子です。桜木君にはとても仲良くしてもらってます。今日は弟まで誘ってもらってすいません。』
『いいえ、こちらこそ宜しく。みんなバカばっかりで疲れると思いますけど宜しくね!』博人もまた昔の涼子と今の涼子との存在に戸惑いを感じていた。
『そう言えば、純平のやつ遅いな・・・』そう拓実が言った矢先に純平が姿を現した。『すいません、遅れちゃって。』
『何やってるのよ純平!ちゃんと時間守らなきゃダメじゃない。紹介しますね、私の弟の純平です。』涼子がそう言いながら純平を紹介した。
『はじめまして、橘純平です。今日は宜しくお願いします。それと、俺も姉ちゃんに紹介するね。俺の彼女の富樫真希ちゃんです。』
『はじめまして、富樫真希です。宜しくお願いします。』真希は少し緊張しながら話した。
『はじめまして、姉の涼子です。いつも純平が迷惑をかけているでしょ、ごめんね。でも良かった、純平の彼女が可愛くて感じの良い子で。』涼子は純平を見ながらそう言った。
『あっ!博人さん!』真希は博人の顔を見て思わず叫んだ。
『君は確か、玲奈ちゃんと病院で・・・』博人は記憶を思い出しながら言った。
『ということは、玲奈が言ってた海ってこの事?』真希は一人でぶつぶつ言っていた。
『さあ、みんな荷物積んで出発するよ!』博人がみんなに呼びかけて車は海へと向かい走り出した。
しばらく車が走る中、純平が口を開いた。
『博人さん、一つ聞いてもいいですか?何で助手席空いているんですか?後ろ狭いから俺そっちがいいな。』
『純平、そこはな博人の彼女が座る席なんだよ。今、彼女の家に向かっているんだよ。』拓実が言った。
『おい拓実!彼女って何だよ、だからそんなんじゃない・・・』
『はいはい、わかったからさ危ないから前向いて運転しろよ!』
そんな会話をかわしながら車は玲奈の家へ向かっていた。
そして玲奈の家の前に車は着いた。
『あ~どうしよう、玲奈にどんな顔したらいいんだろ・・・』真希は独り言を呟いていた。
『ちょっと待ってて、今迎えに行ってくるから。』博人はそう言うと玲奈を迎えに行った。
やがて車に玲奈を連れた博人が戻ってきた。『みんな紹介するね、鈴木玲奈ちゃんです。』
『はじめまして、鈴木玲奈で・・・えっ?真希!』
『玲奈・・・』
偶然という運命が繋いだ全ての出来事が、少しずつ姿を現していくのを博人は頭の奥の方で微かに感じとっていた。これから起こる全ての事を予測するかのごとく。 To be continue
いかがでしたか第8話は?様々なそれぞれの想いを乗せた車が海へと向かい出発しました。偶然のように結びついた、数々のつながりが今後の展開に重要な役割をもたらすことをこの時は誰しもが予想もしていませんでした。次回第9話も乞うご期待!
それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)
(今日のマニアック有名人しりとり)
く Clownfish(クラウンフィッシュ。2005年に結成された男性ユニット歌手。今年の1月にミニアルバム『Cars&Girls』でメジャーデビューを果たす。)
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