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2007年9月 3日 (月)

夜明けの流星たち(第5話)

こんばんにゃ~ 北の猫男爵です。

今日は久しぶりのでした。気温もぐっと下がって秋まっしぐらです。秋といえば「読書の秋」、でも最近は本や小説なんてめっきり読まなくなったな~と、秋の夜長にしみじみと一人想う猫男爵です。

さて、今日は連続ブログ小説第5話です。

病院で再会を果たした博人と玲奈、玲奈の心に小さく芽生え始めた「恋心」。しかし、その恋心を打ち消すかのごとく玲奈の体を襲う病魔の影・・・この先、神様はどんな運命の結末を用意しているのか・・・

『夜明けの流星たち』 脚本・演出:猫男爵

☆Story5☆ 『心の支え』

真知子は途方に暮れた足取りで玲奈の待つ病室へとたどり着いた。

『あっ、お母さん。遅かったね・・・それで、何だって?私、退院できるの?』玲奈は心配そうに真知子に話しかけた。

『う、うん・・・大丈夫よ、帰ってもいいって。』真知子は動揺を隠しきれなかったが作り笑顔で答えた。

博人は仕事への迷いの中、途方に暮れながら家路へと歩いていた。その時、携帯電話の音が鳴り響いた。

『はい、もしもし。あっ、親父?いけねえ、すっかり忘れてた!それで今どこだよ?』

『博人の携帯に何回か電話したんだけど出ないし、会社に電話したら帰ったって言うし、仕方ないから父さんお前のアパートの前まで来てるんだよ。』

『ごめん親父、じゃあさ、そこに「ロザーナ」っていう喫茶店があるだろう?そこで待っててくれよ。そこのオーナーの美里さんは知り合いだから、今日親父が来る事は話してあるからさ。俺もすぐ行くから!』そう言うと博人は電話を切り、急いで走り始めた。

その頃、拓実「ピッチハウス」涼子の弟の純平と会っていた。

『そっか、純平も25歳になったか、そうだよな俺も29歳だもな。初めてお前に会った頃はまだ中学生だったのに月日が経つのは本当に早いよな。実は今日、姉ちゃんに会ったんだ。まあ、正確に言うと会いに行ったんだけどな。最近、姉ちゃんの様子はどうなんだ?病院には行ってるんだろ?記憶が戻る兆候とかは無いのか?』真剣な表情で拓実は純平に問いかけた。

『うん・・・この間もさ、姉ちゃんと一緒に病院に行ったんだけどさ、医者が言うには何も変化なしだって・・・ただ、色覚治療の時に以前よりも赤色に対する反応値に変化があるって言うんだ。それが記憶が戻る兆候なのかどうかは医者にもわからないらしいけど。』

『赤色か・・・』拓実はぽつりと呟いた。

純平は姉である涼子を事故後もずっと見守っている拓実の事を本当の兄の様に慕っていた。

『なあ、純平・・・俺はどんな事があっても姉ちゃんの事を守ってみせるからな!だから、純平も姉ちゃんの事を助けてやってくれな。』

『当たり前だよ!俺は姉ちゃんの記憶が戻って、また前みたいに拓実さんと仲良くしている姉ちゃんの姿を見たいんだよ。それが姉ちゃんにとっての一番の幸せだと思うからさ。』

『純平、ありがとうな。』拓実は熱いものが溢れ出しそうで、そう答えるのがやっとだった。

『純平!』そこへ、真希が現れた。

『おう、真希!紹介するよ拓実さん。俺の彼女の真希です。』

『はじめまして、富樫真希です。』真希は拓実に軽く会釈した。

『で、こちらが・・・』純平は少し間をおいて紹介した。『俺の姉ちゃんの彼氏の桜木拓実さんです。』

純平の中では拓実という存在が涼子の彼氏のままである事に変わりはなかったのだ。

『純平・・・あっ、桜木です。はじめまして。』拓実は純平の思いやりに少し声が詰まった。

三人はしばらくの間、談笑していた。

『そう言えば昨日私の友達が急性アル中で倒れちゃって、ほら、純平に呼び出された後なんだけどさ。それでね、助けてくれた男の人がいて救急車呼んで病院まで付き添ってくれたんだって。でも、名前も告げないで帰ったんだって。でね、でね、何とその人が今日ね偶然病院にいてその友達と再会したの!ねっ、これって運命を感じない?凄くない?』真希は少し興奮気味に純平に話した。

『それって、その男が心配して病院に来ただけじゃないのか?』

『もう、純平はロマンがないのね!』真希は口を尖らせて言った。

『拓実さんはどう思います?』真希が聞いた。

『うん・・・きっとそれは運命じゃないよ真希ちゃん。』

『えっ、拓実さんまでそんな事言うの・・・』真希はがっかりした口調で言った。

『真希ちゃん、それは運命じゃなくて必然だよ。出会うべくして出会っただけ、当然の再会だよ。だから運命なんかじゃない・・・』拓実は涼子の事を思い出しながら答えていた。

『拓実さんはやっぱり大人だね!純平とはえらい違いだよ。』真希は、はしゃいでみせた。

『純平、俺はもう帰るから、あとは二人で楽しんでいけよ。じゃ、真希ちゃんまたね。』そう言うと拓実は店を出て行った。

純平は何か寂しげな拓実の背中を悲しげに見送った。

「ロザーナ」では修司と美里が楽しげに話していた。

『そうですか、博人のやつそんな事を。あいつはね、一人っ子のせいか私も女房も大事に育て過ぎましてね、少し甘やかした面も多かった。でもね、親の私が言うのも何ですが、あいつは小さい頃から人一倍責任感が強くてね、それでいて誰よりも負けず嫌いなところもあって、人を思いやる気持ちっていうんですか、それが強い子でね。誰かが困ってたりすると放ってはいられない質なんですよ。小学4年生の時だったかな、同級生の子が上級生にイジメられましてね、そうしたらあいつは一人でその上級生の所へ行って、「俺の友達に何をした!」ってね、殴りかかっていったんですよ。結局はボコボコになって帰ってきたんですけど、涙ひとつ流さなかった。そんなやつなんですよあいつは。お蔭であいつの周りにはいつも沢山の友達がいていつも楽しそうでした。そんなあいつだから、大人になって社会に出ても無茶をしているんじゃないかと、心配な面も親としてはあるんですよ。社会っていうのは、ただ真っ直ぐに突き進むだけではダメですからね。時には我慢も必要になってくる。そんなものですからね・・・』修司は心配そうに美里に話した。

『でも、博人君は社会の中で立派に頑張っていると私は思いますよ。博人君の目を見ればわかります。凄く純粋でいきいきとした澄んだ目をしています。』美里は笑顔で答えた。

『それなら、いいんですが・・・』修司は少し微笑しながら答えた。

そこへ博人が店へ入ってきた。『親父!遅くなってごめん。』

『おう、博人!久しぶりだな!元気そうじゃないか。』

『親父も元気そうじゃないか。美里さんすいませんね、親父が何か迷惑かけませんでしたか?』

『迷惑だなんてね、今ちょうど博人君の話をしていたところなの。』美里は笑いながら言った。

『俺の話?何か変な事言ってませんでした親父?』

『変な事なんて言ってませんよねお父さん。』

『そうだよ博人、言うわけないだろう。』

美里と修司は笑いながら博人に言った。

二人は「ロザーナ」で食事をとり、やがて博人のアパートへと帰った。

『親父、ちょっと飲み過ぎたんじゃないか?』

『大丈夫だよ。』修司は少し飲み過ぎたらしく千鳥足だった。

『今、布団敷くからちょっと待ってろよ。』

部屋を片付けて準備する博人に修司が話しかけた。『なあ、博人・・・お前、仕事はうまくいってるのか?』

『えっ?』

『いや、母さんがさ、お前から何の連絡も無いから心配してさ。』

『うん、仕事ならうまくいってるよ。上司にも期待されててさ、今、大きな契約が取れそうなんだよ。』博人は自分の今の心境を打ち消しながら話した。

『博人、一生懸命やるのは良い事だ、でも無理はするなよ。あんまり無理をすると周りが見えなくなる。少しよそ見をする事も長い人生の中では必要だ。あまり前ばかり見ないで、息抜きもしないと息が詰まるぞ。これはな、父親だから言っているんじゃないんだ。一人の人生の先輩としてだ。』

『親父?』博人は思わず布団を敷くのを止めて修司の方を見た。

『実はな、父さんもお前と同じくらいの歳の頃な、仕事一筋で一心不乱だった頃があってな、その時は周りが全然見えなくて、気がつくと仕事も失敗して周りにいたはずの友人達もみんな見向きもしてくれない、一人ぼっちになってしまってな、酒に溺れて体を壊して、まあ人生の挫折ってやつだな。そんな時にたった一人だけ父さんに「頑張れ!負けるな!」って声をかけてくれた女性がいたんだ。父さんな、その時の事は一生忘れないよ。その人はな、父さんが一生懸命頑張っている姿を影でずっと見ていてくれたんだよ。周りが見えていなかった父さんには、そんな事気が付くはずもなかった。その時、父さんは初めて解ったんだよ、人間は一人では生きてはいけない。生きていく支えがあるからこそ生きていけるんだってな。それに気が付かせてくれた女性を、今度は父さんが支えてやらないといけないって思ったんだ・・・その女性っていうのは母さんだ。博人、お前ももしそういう女性がいるなら、いや今いなくてもそういう女性にめぐり会ったら支えてやれ、そして幸せにしてやれ。そうやって人生を築いていけばいい。一人で苦しむなんていうのは何の意味もないからな。それが先輩として言える事だ。何だか父さん眠くなってきたな、このベッド借りるぞ。』そう言うと修司は博人のベッドで眠りに就いた。

『親父・・・バカ野郎、布団敷いてやるって言ってるだろう、俺のベッドが臭くなるだろう・・・』博人は涙をこらえきれず、震えながら小声でそう呟いた。

仕事に行き詰まっている博人には修司の言葉が胸に強く響いて、修司の父としての温かさがとても嬉しかったからだ。博人は改めて父親の偉大さを実感した。そして心の中で小さく「ありがとう」と呟いていた。

博人は眠る修司を部屋に置き、涙で赤く腫れる目を擦りながら煙草を買いに外へ出た。その時、携帯電話の音が鳴り響いた。

『はい、もしもし。』博人は涙をこらえて電話に出た。

『もしもし、川嶋さんですか?私、鈴木と申します。鈴木玲奈です。』その声は玲奈だった。

『今日はわざわざお見舞いに来て頂いてありがとうございました。』

『いや、こちらこそ突然病室にお邪魔して迷惑じゃなかったかな?』

『そんな迷惑だなんて、嬉しかったです。あ、いや、何言ってるんだろ私・・・』玲奈は照れながら言った。

『あの、もし良かったら日曜日にお食事に行きませんか?御礼がしたいので。』

『日曜日ね、うん、大丈夫だよ。でも、そんな御礼なんて気を遣わなくてもいいのに。』

『いえ、どうしても御礼がしたいので、お願いします。』

『うん、わかったよ。』

『じゃ、正午に南青山の駅前で待ち合わせでいいですか?』

『いいよ。じゃ、日曜日に。』そう言うと博人は電話を切った。

電話を切った玲奈は、嬉しさを抑えきれず笑顔が満ち溢れていた。玲奈の心の中には明らかに博人に対する思いが募り出していた。

博人は修司の言葉を噛み締めながらも、玲奈の電話で心の落ち着きを感じていた。

この時の博人にはまだ玲奈に対する特別な感情は沸きあがってはいなかったが、二人の運命は確実にその道のりを歩き始めていた。その見えない道のりには、「心の支え」が必要であるということを博人は無意識に感じていたのであった・・・                                                 To be continue

いかがでしたか第5話は?博人の中で微妙に揺れ動く感情がこの先思いもよらない展開に進んでいきます。第6話もどうぞお楽しみに!

それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)

(今日のマニアック有名人しりとり)

い 板井(いたい。突きや押しを得意とする元力士。幕内在籍時には15戦全敗をしたことがある。これは彼の後に一人も出ていない珍記録である。引退後は年寄りを名乗ることが出来ず「廃業」扱いになった。最高位は小結。)

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コメント

猫男爵さんの小説は長台詞ですよね。役者泣かせですね。まさか橋田ファミリーの一員ですか(笑)?

投稿: fotofoto妻 | 2007年9月 5日 (水) 09時55分

fotofoto妻さん
こんにちは。
そうなんです、実は僕、橋田先生の弟子なんです。なんちって(笑)
ちょっと長台詞が多いですよね。役者も大変ですけど読んでくれる読者の方も大変ですよね。すいません(泣)
一応、僕の中ではそれぞれの登場人物に俳優・女優を配役して書いているんですよ。
ちなみに第5話で台詞が長かった博人の父親役は平田満という俳優をキャスティングしてます。わかりますか?

投稿: 猫男爵 | 2007年9月 5日 (水) 12時31分

昨日はお疲れ様でした。
ホームラン見れなくて残念です。
登場人物の配役が超気になります(笑)

投稿: Hこ | 2007年9月 5日 (水) 12時49分

Hこさん
昨日はお疲れ様でした。ハードで熱いミニバレーでしたね。
ホームランは昨日で最後かも(笑)また打てるように頑張ります!
連続ブログ小説の配役やっぱり気になるますよね?それでは早速、ブログで紹介しますね。楽しみにしていてください。

投稿: 猫男爵 | 2007年9月 5日 (水) 19時45分

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