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2007年8月17日 (金)

夜明けの流星たち(第3話)

こんばんにゃ~ 北の猫男爵です。

さて、今日は連続ブログ小説第3話です。

『運命』に導かれるようにして遂に出会ってしまった博人と玲奈、この二人にこの先訪れる『宿命』とはいかなるものか・・・それでは第3話をどうぞお楽しみください。

『夜明けの流星たち』 脚本・演出:猫男爵

☆Story3☆ 『手のぬくもり』

二人を乗せた救急車は病院へと向かっていた。博人玲奈の手をしっかりと握り締めていた。

『おい、しっかりしろよ!もう少しで病院だからな!』博人の強い呼びかけにも玲奈からは反応はない。

どれだけの時間が経ったのだろうか・・・博人には記憶がないが、間もなくして救急車は聖北総合病院へと到着した。受け入れの救急入口には数人の看護師と医師が待ち構えていた。

慌ただしく、そして機敏に救急車から降ろされた玲奈は処置室へと運ばれていった。博人は呆然と立ち尽くしていた。

『お連れの方ですね?ロビーでお待ち下さい。』看護師の一人がそう呼びかけた。

『いや、あの、俺はただ・・・』言葉を返す事もできず博人はロビーの椅子に座る事しかできなかった。

1時間くらい待っただろうか・・・看護師が歩み寄ってきた。『鈴木玲奈さんのお連れの方ですね。診察の結果、軽度のアルコール中毒障害でした。持っていた身分証明書の方からご家族の方とも連絡が取れましたので、間もなく来られると思います。今日の所はこのまま入院してもらい、明日改めて詳しい検査の方をしたいと思います。失礼ですが、鈴木さんとはどのようなご関係ですか?』

『いえ、関係と言われても僕はただ偶然倒れているのを見つけただけで、特に関係はないんです・・・』

『それはご親切にありがとうございました。搬送が早かったお蔭で大事に至りませんでした。あなたのお蔭ですよ。』

『いえ、そんな・・・それじゃ、僕はここで失礼します。』そう言い残すと博人は病院を去ろうとした。

病院の出口で一人の女性が走って入ってきた。それは玲奈の母親の真知子だった。博人もまさか玲奈の母親だと気づくことなく、真知子もまた博人が玲奈を助けてくれた恩人だとも知らず、二人はすれ違うだけだった。

病院を出た博人は再び家路に向かっていた。気がつけば既に時間は午前0時をまわっていた。博人は思わず天を仰いだ。都会の空にしては珍しく星が光り輝く夜だった。その星のひとつひとつが、博人にはとても眩しく感じられていた。仕事に追われる忙しい日々で空を見上げる事など忘れていた博人にとっては、久しぶりに見た星空であった。

翌朝、夜が明けいつもと変わらない一日が始まろうとしていた。博人はまだ眠りの中にいた。その時、博人の携帯電話が鳴った。

『はし、もしもし。』博人は半分眠りながらも電話に出た。

『博人か?朝から悪いな、まだ寝てたか?』それは父親の修司の声だった。

『親父かよ、何だよ朝っぱらから。』博人は寝ぼけながらも眠い目を擦って起き上がった。

『あのな博人・・・実は父さんな、今日出張でそっちに行くんだよ。それで、急で悪いんだが今晩泊めてくれないか?』

『はあ?今日って何だよ!何でもっと早く連絡しないんだよ!』

『昨日急に決まってな、お前に何度か電話したんだけどさっぱり繋がらなくてな。急な事で宿も取れなくて・・・頼むよ博人!夕方また連絡するから!』

『わかったよ、仕方ないな・・・』博人は仕方なく修司の無理な願いを承諾した。

博人は家を出て会社へ向かおうとしていた。

『おはよう博人くん。今日はお寝坊さんじゃないみたいね。』いつものように美里が話しかけてきた。

『おはようございます美里さん。今日も相変わらず早いですね。あっ、そうだ!美里さん!』

『何?どうかした?』

『実は今日、故郷から親父が出て来るんです。何か急な出張みたいで。今晩、美里さんの店で晩飯食べていいですか?親父連れていきますよ!』

『そうなんだ。わかったわ。勿論いいわよ!待ってるよ。』

博人は笑顔で美里と約束を交わした。どこかで博人は美里に引かれるものがあったのも嘘ではなかった。

駅の改札口に着いた博人は定期券が無い事に気がついた。『うん?あれ?やべぇー定期忘れた・・・ついてないな今日は。』やむを得ず、博人は切符を買って電車に乗り込んだ。

ちょうどその頃、聖北総合病院では玲奈が目を覚ました。側には母親の真知子が付きっ切りでいた。

『お母さん?えっ、ここはどこ?私、昨日・・・』玲奈は小声で呟いた。

『良かった、目を覚ましたのね玲奈!ここは病院よ。あなた昨日の事は何も憶えてないの?』真知子はほっとした表情で玲奈に問いかけた。

『確か・・・真希とバーで飲んでて、それで、真希が用事があるから先に帰るって言って・・・』玲奈は記憶を探りながら話した。

『もう、お酒は程々にしないとだめよ!あなた道端で倒れて、偶然通りかかった親切な方が救急車呼んでくれて病院まで付き添ってくれたのよ。あなた憶えてないの?』

『うん・・・』

玲奈の脳裏に救急車の中でぼんやりと見えた男の人の顔と、優しい手のぬくもりが僅かだが思い出されてきた。『温かかったあの手・・・』

『え?手がどうかしたって?玲奈・・・急性アルコール中毒だなんて何か嫌な事でもあったの?そんなになるまで飲んで・・・』

『ちょっと仕事でね。』

『あんまり無理しちゃだめよ。会社にお母さんが連絡しておいたから、今日はゆっくり休みなさい。』

『ありがとうお母さん。ごめんね心配かけて・・・』

そこへ婦長の結城が病室へやってきた。『鈴木さん、ご気分はどうですか?』

『はい、今は気分は楽ですが、少し頭がまだ痛いかも・・・』玲奈は少し辛そうな表情で答えた。

『これからは少しお酒はひかえて下さいね。今日は一度、内科的な検査をして様子を見て何も異常がなければ帰ってよろしいですからね。』そう、優しく微笑むと結城は立ち去っていった。

その頃、拓実の会社では上司の古屋と言い争う拓実がいた。

『だから、クライアントの言う事も一理あるんですって!クライアントだってできるだけ低いコストであげたいんですよ。この不景気に、うちみたいなやり方していたら仕事を他に持ってかれますよ!』

『桜木!お前は何年この仕事やってきたんだ!足下を見られてるんだよお前は!そんな、お人好しなやり方やってたらな、こっちがつぶれちまうんだよ!お前は自分のやっている事に自信がないのか?えっ!どうなんだ!』古屋が強い口調で言った。

『ありますよ!でも・・・』

『でも何だ!自信があるのならなぜそれを貫かない!お前に心のどこかで油断があるんじゃないのか!甘い考えで仕事をするな!そんなに甘くないぞ世の中は!』

拓実は言い返せなかった。自信がないわけではなかったが、油断があったのは確かだったからだ。初めて任された大きな仕事、浮かれていた部分も多々あった。

『もういい!やる気が無いんだったらこのプロジェクトから降りろ!代わりならいくらでもいるんだぞ!やる気があるんだったら説得して来い!』古屋の罵声とも言える声が響き渡った。

『わかりました・・・説得してきます。必ずこのプロジェクトは成功させてみせます!』拓実はそう言うと会社を出た。

『部長・・・ちょっと言い過ぎじゃないですか?』重苦しい空気の中、岡崎カオリが口を開いた。

『いいんだ、あれくらい言わないとあいつは目を覚まさない。最近のあいつは少し危機感が欠けていてな、気になっていたんだ。あいつは間違いなく将来、日本を代表する建築デザイナーになる。俺は入社したばかりのあいつの目を見て身震いしたんだ。何て輝く良い眼をしている若者なんだとな・・・しかし、あいつは現状に満足してばかりで変わろうとはしなかった。だから、今回のプロジェクトも俺が社長に無理言って、あいつを抜擢してもらったんだ。あいつには素晴らしい潜在能力がまだ眠っているんだ。それを眠らせたままにしておく事が、俺にはできなくてな・・・』

『部長・・・』岡崎がぽつりと呟いた。

『くだらん話をしてしまったな。岡崎くん、お茶もらえるかな。』そう言うと古屋は唇を噛み締めた。

今回のプロジェクトに古屋の熱い想いが込められている事を拓実はまだ知らなかった。

『とは言ってもな・・・部長にあんな事言ったけど、どうしよう・・・とりあえずクライアントに頭下げるしかないか・・・』拓実はもう一度、頭を下げに行くことにした。

ちょうどその頃、彩香は英会話学校に初出勤のところだった。

『よし、リラックス、リラックス!笑顔でいつも通りに。』彩香は自分を落ち着かせるように教室へと入って行った。

『Hello,everybady!My name is Ayaka Nakamura!』彩香は新しい人生の一歩を踏み出していた。

博人は会社で一人、パソコンと向き合いながら昨日の彩香の事葉を思い出していた。

『通行止めか・・・俺も通行止めに迷いこんでいるのかな・・・』

『先輩?大丈夫ですか?何か最近の先輩元気ないですよ!』稔が話しかけてきた。

『昨日さ、久しぶりに昔の友達に会ったんだ。何かさ凄いひたむきで自分をしっかり持っていてさ、そんな顔見てたら自分の情けなさがいたたまれなくてさ、思わずその場から逃げ出しちゃってさ。小さいよな俺は・・・』

その時、博人を呼ぶ女子社員の声が聞こえた。

『川嶋さん、2番にお電話です。病院からです。』

『病院?』不思議そうな顔をして博人は受話器を取った。

『もしもし、お待たせしました川嶋ですが。』

『川嶋さんですね、こちら聖北総合病院と申します。あの、こちらで定期入れを落としませんでしたでしょうか?こちらに落し物の届けがありまして、その中に定期券と一緒にそちらの名刺がありましたもので。』

『あっ、そうだ!昨日のあの時だ!』博人は昨晩の出来事を思い出していた。

『はい、その定期入れは私のものです。ちょうど探していたところなんです。後で取りに伺います。ありがとうございます。』そう言うと博人は受話器を置いた。

『そういえば昨日のあの子、大丈夫かな?』

『昨日どうかしたんですか先輩?』

『いや、別に何でもないんだ。』

稔は首をかしげていた。

僕の脳裏に思い出された昨日の出来事、まだそれが『運命の出会い』であったことなど僕には想像もできないことだった。ただ、偶然病院で落とした定期入れが、今確実に二人を再び引き合わせようとしていた。それは全てが「偶然」ではなく「必然」であることの証であった・・・           To be continue

いかがでしたか第3話は?次回の第4話もお楽しみに!

昨日の「睡眠しりとり」は僕の勝ちで、対戦成績は姪っ子の5勝4敗3分けです。

それでは今日はこのへんで。チャオ(ciao!)

(今日のマニアック有名人しりとり)

ち 筑紫ゆうな(ちくしゆうな。ジャナーリストやニュースキャスターとして有名な筑紫哲也の次女で、ペーパーカットアウツ・アーティストとして活躍している。ペーパーカットアウツとは、独自の切り絵手法によるイラストである。)

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コメント

こんばんは。
いつも楽しみに読んでるよ。
睡眠しりとり久しぶりの勝利だね。
「猫男爵も疲れが出てきたか。歳には勝てんな。」
なーんて思ってたんで、おもわずコメント
してしまいました(笑)。
週末の攻防をひそかに楽しみにしてます。
がんばれ!姪っ子!

投稿: fotofoto | 2007年8月18日 (土) 20時26分

fotofotoさん
こんばんは。
「睡眠しりとり」はなかなかの苦戦をしいられています。
「NGワード」というのがあり、例えば真ん中に「ん」が入る言葉はダメとか、「食べ物」を言ったらダメとか、かなり高度な「しりとり」です!
しかし、fotofotoさんの言う通り歳には勝てません・・・すぐに眠くなっちゃうんです(笑)朝起きて『昨日も先に寝てたよ!もうちょっと頑張ってよ~』と姪っ子からダメ出しされています・・・
あと1週間の勝負なので何とか勝ち越して終わりたいです!

投稿: 猫男爵 | 2007年8月18日 (土) 21時44分

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